ニッポン18メダル獲得 ドーピング疑惑、失格騒動も終わってみれば冬季過去最多
「北京五輪・閉会式」(20日、国家体育場)
史上初の夏冬五輪開催となった北京冬季五輪は20日、17日間の全日程を終え、閉幕を迎えた。ROC(ロシア五輪委員会)から出場したフィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(15)のドーピング疑惑や、スキージャンプ混合団体でのスーツ規定違反乱発、不可解な判定の続出など問題が多発した大会となったが、日本選手団は金メダル3つ、銀メダル6つ、銅メダル9つで、史上最多となる18個のメダルを獲得。冬の祭典を盛り上げた。次回2026年の冬季五輪はイタリアで、五輪史上初めて複数の都市が名を連ねるミラノ・コルティナダンペッツォ大会が開催される。
光と闇が強烈に交錯した冬の祭典だった。
今大会の一番のハイライトとなってしまったのは、15歳の銀盤の天才少女に突如降って湧いたドーピング疑惑だった。フィギュアスケート女子で今季世界最高得点を連発し、金メダルが確実視されていたワリエワが昨年12月の国内大会における検査で、禁止薬物の一つであるトリメタジジンが検出されていたことが判明。一時は出場が危ぶまれたが、スポーツ仲裁裁判所は出場を認める裁定を下した。ただ、世界から疑惑の目が向けられる中で迎えた本番では2度転倒するなど、精神的な不安が演技に出て、メダルを逃す4位。悲劇的な光景だった。
ジャンプでは日本女子のエースがまさかのトラブルに巻き込まれた。今大会から初採用の混合団体で、高梨沙羅が1本目のジャンプの後、スーツ規定違反と判定されて失格に。その場で泣き崩れた。
高梨を含めて4カ国5人の女子選手が同規定違反で失格となる前代未聞の事態に。高梨も含め選手側は、通常とは違う形で検査が行われたと主張しているが、検査員側は否定している。高梨はインスタグラムでメダルを逃したことを謝罪。自身の進退を検討する可能性も示唆するなど、波紋を呼んだ。このほかにも、基準が不明瞭な判定や、開催国の中国寄りな判定が相次ぎ、不信感が広がった。
そんな中で日本選手団の活躍は光った。史上最多となる18個のメダルを獲得。特に各競技団体のエースがしっかりと結果を残した。
ジャンプ男子の小林陵侑はノーマルヒルで日本ジャンプ陣24年ぶりの金メダルを獲得。ラージヒルでも銀メダルを獲得した。スノーボードHPの平野歩夢は不可解な判定をねじ伏せ、悲願の金メダルを獲得。スピードスケートでは5種目に出場した高木美帆は、金メダル1つ銀メダル3つの計4つのメダルを獲得。日本選手団主将として、十二分に責任を全うした。