パリ五輪代表辞退の宮田笙子「プレッシャーもあり、そういう行為に」と説明 喫煙と飲酒が発覚で五輪直前に異例事態 「かなり憔悴した状態」専務理事明かす

 日本体操協会は19日、都内で緊急記者会見を行い、パリ五輪女子代表の宮田笙子(19)=順大=が代表を辞退したことを発表した。

 藤田直志会長、西村賢二専務理事、順大の原田睦巳監督と、山口明彦弁護士、谷原誠弁護士の弁護士2人が出席した。

 藤田会長は冒頭「ご迷惑とご心配をおかけし、心からお詫び申しあげます。本当に申し訳ありません。体操協会全体の責任」と謝罪した。事実関係は西村専務理事が説明。6月末から7月にかけて、都内某所でのプライベートの場での喫煙行為が1度、また同時期にナショナルトレーニングセンターの選手宿舎内で飲酒行為があったとし、「JOC国際総合競技大会派遣規定、日本協会の行動規範に反する事実が確認。本人と話し合った結果、オリンピックへの出場辞退に至ったことを報告します。今後、JOCへの参加辞退への申し入れを行います」とした。

 聞き取りを行った西村専務理事は「事前合宿から相当神経を使い、かなり憔悴した状態だった」と説明。「自分の行為に対して真摯に向き合う姿勢だった。さすがだなという印象。正直に素直にしっかり話しをしていただいた」と、振り返った。「プレッシャーもあり、そういう行為に及んでしまった」と、吐露したという。

 順大の原田監督は「最初にこのような事態を招きまして、所属の監督として大変申し訳なく思っております。幼い頃から五輪を夢みて、トレーニングを頑張っていた。軽率な行動を反省しているかと思う」と謝罪し、「一方で東京五輪が終わり、選手が一新されて、日本を引っ張っていかないといけないという思いをもちながら、プレッシャーと戦いながらいる姿を間近でみてきた。彼女は真摯に体操に、学業にも取り組んでましたし、こういった行動があるとは決して想定できるようなことではなかったのが正直なところ。とはいえ、指導者として行き届かない部分があった。大変申し訳なく思ってます」と肩を落とした。その上で宮田の心情を「ものすごいプレッシャーと残さないといけないという思いを胸に残しながら、戦っていた。ご理解いただければ幸いです」と、涙ながらに語った。

 宮田はすでにパリ五輪に向けて渡欧していたが、複数の関係者によると喫煙の疑惑が浮上し、代表行動規範に違反した疑いで、事前合宿地のモナコから帰国。協会の聞き取り調査を受けた。

 17日に報道陣に公開されたモナコ合宿で姿がなく、日本体操協会の田中光女子強化本部長は「事情により今日は参加していない」として詳細は明らかにしなかった。

 宮田は今季、全日本選手権、NHK杯を制した女子のエース的存在で、1964年東京五輪以来となる団体メダルを狙う女子代表に激震が走った。

 宮田は21年東京五輪後に台頭し、初出場だった2022年の世界選手権で平均台銅メダル、個人総合8位と活躍。全員が初出場の代表の中心選手として期待がされていた。宮田はパリ五輪に向けて「エース兼キャプテンとして重大な責任がある。明るく日本を引っ張っていけたら」と話していた。

 チームは19日にパリの選手村入りし、28日の予選に出場する。

 ◆宮田笙子(みやた・しょうこ)2004年9月21日生まれ。京都府出身。中学3年で鯖江市内の中学に転校し、鯖江高を経て現在順大2年生。24年全日本個人総合選手権で初優勝。NHK杯は24年大会に3連覇を達成。世界選手権は22年に種目別平均台で銅メダルを獲得。得意種目は床運動と跳馬。床運動では村上茉愛さんも決めたH難度の「シリバス」を持つ。座右の銘は「脚下照顧」。151センチ。

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