角田夏実が3戦連続一本勝ちで4強入り 23年世界銀の地元ブクリを宝刀・巴投げで一蹴でメダル王手 3戦合計でわずか2分54秒の圧倒的強さ
「パリ五輪・柔道女子48キロ級・準々決勝」(27日、シャンドマルス・アリーナ)
21~23年世界選手権3連覇女王で、世界ランク4位の角田夏実(31)=SBC湘南美容クリニック=は、準々決勝で地元のフランスで、23年世界選手権銀メダルのブクリを巴投げで一本勝ちした。準決勝進出を決めた。
完全アウェーの中で、じっくりと冷静に機をうかがうと、1分で宝刀・巴投げがさく裂。相手を畳にたたきつけ、圧勝した。
角田は初戦で世界ランク26位のナタシャ・フェレイラ(ブラジル)と対戦し、開始30秒で得意の巴投げで技ありを奪うと、そのまま腕ひしぎ十字固めを決めて、試合開始45秒で一本勝ちを収めた。2回戦でホワイトボーイ(南アフリカ)に1分すぎに巴投げで技ありを奪うと、そのまま腕ひしぎ十字固めで一本。初戦と同じ必勝パターンで1分9秒で快勝した。1回戦の試合開始最初にもつれた際に、右目を痛める場面があったが、問題なし。3戦で掛かった合計時間は2分54秒という驚異的な強さでメダルに王手をかけた。
角田にとって、31歳11カ月で迎える初の五輪。東京五輪は出場を逃したが、その後の世界選手権では3連覇を果たし五輪切符をつかんだ。本番前、同階級では谷亮子さん以来20年ぶりの金メダル獲得へ向けて「少しずつ緊張感と実感が湧いてきた」と心境を口にしていた。
3月末に負傷した左膝は万全ではなく、「今年はけがが多くて、まともに練習できていなくて不安がある」と本音も漏らしていた。一方で今できる最善の状態へと気持ちとコンディションを高め、「今の柔道をしっかりやることにフォーカスしてきた。自分の一番のパフォーマンスができたら」と語っていた。
◆角田夏実(つのだ・なつみ)1992年8月6日、千葉県出身。8歳から柔道を始めた。52キロ級では、八千代高2年時に全国高校総体3位に入り、東京学芸大3年時の全日本学生大会で優勝。実業団に進むと、16年講道館杯で初優勝し、初出場の17年世界選手権で銀メダルを獲得した。19年に48キロ級に転向し、同年の講道館杯、GS東京大会で優勝。同級では21年から世界選手権3連覇を果たし、パリ五輪代表に内定した。左組みで得意技はともえ投げ、腕ひしぎ十字固め。162センチ。