柔道男子・鈴木桂治監督が怒り 永山の不可解判定への抗議を審判団一笑「まず落ちたよね?」 終始憤り隠さず「悪魔の6秒間、あってはいけないこと」

 「パリ五輪・柔道男子60キロ級・3位決定戦」(27日、シャンドマルス・アリーナ)

 準々決勝で敗れた永山竜樹(28)=SBC湘南美容クリニック=は、3位決定戦でイルディス(トルコ)に合わせ技一本勝ちで銅メダルを獲得した。開始45秒で大腰で技ありを奪うと、残り52秒で横車で再び技ありを奪い、メダルをもぎとった。同階級では日本勢4大会連続メダルとした。

 日本男子の鈴木桂治監督は「負けてからしっかり気持ちを立て直して勝ってくれた。日本代表としてしっかり戦ってくれた。感謝したい」と、称えた。

 準々決勝での不可解判定での敗戦について抗議が通らなかった後、永山に「すまん、俺たちの力不足だと、本人には伝えて。『ここで勝つことでお前の強さを証明してくれ』と伝えました。それぐらいしか言いようがなかった」と、伝えたことを明かした。

 審判団の説明として「まず落ちたよね?どうだそれは」と言われたことを明かし、鈴木監督が「あの時間のトータルでみたら、落ちてたと思う」と返すと、審判側は笑いながら「だよね」という感じだったという。「僕らが言ってるのは落ちたか落ちてないかではなく、『待て』と言われた後の6秒間に絞め続けることが柔道精神に則ってますか?と。今、国際柔道連盟は怪我とか柔道精神みたいなものをすごく厳しくとっているのに。あの『待て』は間違いだったとは認めました。あれは『待て』を出すべきではなかったと。審判のいう『待て』って神の声の場合もあれば、悪魔の声の場合もある。あの『待て』は間違いだった、絞めは継続されていたといわれたら終わりなんですよ」と憤りを示しながら、「悪魔の6秒間、あってはいけないこと」と、語った。

 永山が畳に残って抗議したことについては、厳重注意を受けたという。「スポーツ精神とか柔道家としてふさわしくない行動だったかもしれないが、僕はあそこでああすることで少しでも問題提起になったならそれはそれでいいと思う」と、かばった。

 永山は試合後、「負けてから切り替えるのが大変だったんですけど、せっかく親とか妻とか、たくさんの方々が応援にきてくれた。手ぶらで帰るわけにはいかないと思って、とりにいった。目標は金メダルだったので、正直きつかったけど、最低でも銅メダルと思って気力だけで戦いました」と、言葉を振り絞った。

 初戦の2回戦を苦戦しながらも勝利した永山は、準々決勝で23年世界王者のガルリゴス(スペイン)に片手絞めで一本負け。最初の4分間の中盤に、絞め技を食らい、主審の「待て」の後も、相手が数秒ほど絞め技を継続。その後、畳に倒れ込んだところ、失神していたと判断された。敗戦が言い渡されると、呆然。しかし、納得のいかない永山は握手を拒否。その後も不満を露わにし、映像確認を求めて、畳からなかなか下りなかった。会場からはブーイングのように指笛が吹かれ、早く畳みを下りるように促された。約5分経ち、礼をして畳を下りた永山は関係者と「待てって聞こえていた」と話していた。準々決勝終了後、日本の鈴木桂治監督、古根川実コーチ、金野潤強化委員長が大会本部に抗議していたが、覆らなかった。

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