「パリ五輪・柔道女子４８キロ級・決勝」（２７日、シャンドマルス・アリーナ）

　女子４８キロ級で角田夏実（ＳＢＣ湘南美容クリニック）が決勝でバーサンフー（モンゴル）に優勢勝ちし、２００４年アテネ大会の谷亮子以来２０年ぶりの金メダルを獲得した。３１歳１１カ月での制覇は東京五輪女子７８キロ級で３０歳１０カ月の浜田尚里（自衛隊）を上回り、日本柔道史上最年長優勝となった。今大会の日本選手団第１号のメダルで、夏季五輪の日本勢通算５００個目。節目のメダルをつかんだ裏には、幾つものストーリーがあった。

　一人の女性として、恋愛もパワーに変えてきた。高校時代は他校の柔道部員と交際していたというが、まだ未熟で「喧嘩（けんか）した時は柔道の練習にも引きずって、泣いて身が入らないこともありました」。当時は気持ちの波が競技に直結していたといい、「恋愛がうまくいっている時は楽しくて、その時の試合の成績はよかったけど、メリハリがうまくなかった」。ただ、公私をうまく切り替えられるようになってからは、どちらもいいバランスで両立できるようになったと明かす。

　大学時代は柔道部の３年上の先輩と交際しており、朝の柔術練習にも互いに励まし合いながら自主参加していた。部の関係者によれば、その先輩は部内でも一番のイケメンで、柔道の実力も一番強かった。当時１年生の角田がいつの間にか付き合っていたといい、同関係者は「柔道も恋愛も狙ったら逃がさない」と笑う。気張らず、等身大で公私を両立しながら、独自の柔道スタイルを磨き上げた。