銀・赤間凜音「真夏の大冒険!」の2021年夏、三者面談から夢へ出発「悔しい。パリ五輪に出て、金メダルを」

 「パリ五輪・スケートボード女子ストリート・決勝」(28日、コンコルド広場)

 初出場で15歳の赤間凜音が265・95点で見事銀メダルを獲得。宮城・仙台市立長町中学校で3年間担任を務めた野口さつ希さん(27)が取材に応じ、赤間の素顔、パリ五輪に懸ける思いなどを明かした。

 2021年の夏休み。西矢椛の「真夏の大冒険!」と列島が沸いた東京五輪の開催中、三者面談を行っていた教室で赤間はぽつりと言った。「出られなくて悔しい。パリ五輪に出て、金メダルを取りたい」。そこから夢に向かう道が始まった。

 授業が終わるとほぼ毎日練習場に両親の車で向かい、週末は仙台から新潟まで遠征する。月曜日にギプス姿や松葉づえをついて登校してきたことは「3年間で何回あったか分からない」と野口さん。入学式から2日目には「腕を骨折したので制服ではなく、ジャージーで登校しても良いでしょうか」と母から連絡が入ったこともあった。野口さんが「怖くないの?」と聞くと、「怖い」と返す赤間。ただその後に必ず「けど楽しい」と付け加えるという。

 カメラの前では冷静に話すが、学校では活発でおちゃめな女の子。休み時間は友達と常に走り回り、「先生助けて~」と笑いながら野口さんの後ろに回って盾にする。廊下にいない日は教室で腕相撲。「テレビの赤間さんを見ていてギャップがある。学校とスケボーではスイッチがあるのかな?学校では喜怒哀楽をはっきり表す子ですよ」と笑いながら明かした。

 スケートボードは学校に持ち込まず、大会で結果が出ても自慢することはない。ただ野口さんが「試合どうだった?」と週明けに聞くと、人さし指だけを立ててニヤリと笑う。それが優勝の合図だった。

 印象に残っているのは、東京五輪後の12月に行われた日本選手権。西矢を抑えて優勝した。普段は目標をあまり口にしないタイプだが、その日の1行日記には「真冬の大冒険!1位取れた」と、うれしそうな文字が躍った。

 「教室にいると安心するというか、男女とも仲が良くて、あの子がいると(クラスが)明るくなる」と野口さん。入学して東京五輪に出られず悔しがっていた少女は、高校生になり、世界最高峰舞台で銀メダルを獲得して、1つ夢をかなえた。「ずっと言い続けてきた言葉を実現させてすごい。かっこいいです」。花の都から届けた赤間の活躍は、恩師を笑顔にさせた。

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