なでしこ奇跡の逆転星!19歳谷川が30メートルV弾 連敗危機救った父の助言「ブラジルのGKは結構前に出ている」

 試合終了間際に決勝のスーパーゴールを決め、跳び上がって喜ぶ谷川(中央)(ゲッティ=共同)
 決勝ゴールを決める谷川(ゲッティ=共同)
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 「パリ五輪・サッカー女子・1次リーグ、日本2-1ブラジル」(28日、パルク・デ・プランス競技場)

 女子1次リーグ第2戦で、C組の日本は後半追加タイムに2点を奪ってブラジルに2-1で逆転勝ちした。熊谷紗希(ローマ)のPKで同点とし、谷川萌々子(ローセンゴード)がロングシュートを決めた。両チームは1勝1敗で勝ち点3。同組のスペインはナイジェリアを1-0で下して2連勝。日本は第3戦(日本時間8月1日)でナイジェリアと当たる。1次リーグ各組2位までと3位のうち上位2チームの計8チームが準々決勝に進む。

 19歳の躍動が消えかけていた勝利の道へ灯をともした。1点ビハインドの後半35分にピッチへと投入されたMF谷川。「自分が(流れを)変えてやるという気持ちで入った」という五輪デビュー戦の若き才能が、言葉通りに流れを一変させた。

 まずは後半43分だ。エリア内右でドリブルから仕掛けると、鋭い切り返しで相手のハンドを誘発。これで得たPKを主将のDF熊谷が決めて同点に追いつく。そして、衝撃のゴールが生まれたのは後半51分だった。

 相手のパスミスを見逃さずカットに走ると、そのまま右足を振り抜きダイレクトでシュート。前に出ていたGKの頭上を越えてゴールネットを揺らす約30メートルの決勝ゴールを決めた。

 1次リーグ連敗の危機を救った劇的弾。それは決して偶然の産物ではない。22年のU-17女子W杯のスペイン戦でも左足のロング弾を沈めている谷川。高い精度は中学時代に受けた父・栄治さんの助言から生まれた。

 「一番はお父さんが『積極的に狙って良いと思う』と毎試合のように言ってくれて。それで考えずに、体が打てるゾーンに入ったら選択肢に入っている状態になった」

 谷川を指導してきたJFAアカデミー福島の山口隆文監督も「彼女は中2くらいの時もハーフウエーラインから狙っていた。ロングシュートの練習はさせたことないが自分でやるんです。自主トレで今のレベルになっている」と証言する。

 試合前も父から「ブラジルのGKは結構前に出ている。どんどん狙っていけ」と連絡を受け「狙いを意識できた」と谷川。父に背中を押されて地道に磨き続けた武器が、大舞台で輝きを放った。

 終了間際の逆転勝利に池田監督も「チームが勇気づけられるし、勢いも出る」と力を込めた。五輪前の国内合宿は負傷で別メニューが続き「スタッフ、選手が支えてくれて今の自分がある」と谷川は話す。その感謝の思いを乗せたゴールが、なでしこの窮地を救った。

 ◆谷川萌々子(たにかわ・ももこ)2005年5月7日生まれ、19歳。愛知県名古屋市出身。小学校時代に名古屋FCレディース、グランパスみよしでプレー後、18年にJFAアカデミー福島に合格。22年のU-17女子W杯で代表に選出され、翌23年には女子W杯のトレーニングパートナーとしてチームに帯同。同年9月のアジア大会の代表に選出され5得点を挙げるなど優勝に貢献。24年1月にドイツ1部・バイエルンへ加入し、スウェーデンのローゼンゴードに期限付き移籍。身長168センチ。利き足は右。

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