仲間に救われた橋本大輝 奇跡起こした鉄棒直前「背中を叩いて。思いだけ強めに」に一人だけバシッ!主将の思いに奮起「萱選手のために取りたかった」

 「パリ五輪・体操男子団体・決勝」(29日、ベルシー・アリーナ)

 2大会ぶり金メダルを目指した日本は橋本大輝、岡慎之助、萱和磨、杉野正尭、谷川航の5人で挑み、合計259・594点で最終種目の鉄棒での大逆転で、16年リオデジャネイロ五輪以来2大会ぶりの金メダルを獲得した。0・532点差の2位に中国、3位は米国だった。

 5種目目の平行棒を終えた時点で、中国に3・267点差をつけられていたが、最終種目の鉄棒で杉野、岡が好演技を並べると、中国の2番手の選手がまさかの2度の落下。橋本が完璧な演技で14・566点をマークし、逆転した。

 苦しむエースを皆で救った。中国に大差をつけられて2位だった予選の後、チームでミーティングを行った。主将の萱は「もう2番じゃ嫌だと」と訴えた中で、不調が続いていた橋本は「みんなのために戦いたい、みんなで金メダルを取りたいと心の底から思えた」と、涙を浮かべて腹をくくったという。

 橋本は4月の全日本後に右手中指のじん帯を損傷。五輪直前も左肩を痛めるなど調整に苦労していた。「5月に怪我をして、そこから代表合宿が始まって、自信を失いかけて、金メダルをどうやってとるのかも考えられなかった」と告白。それでも「練習場のドアを開ければ、みんなが金メダルを取りたいと言っていて。その姿をみて、僕はもう一度このチームで金メダルを取りたいと思った」と、明かした。

 この日もそうだった。 あん馬での落下はすごい引きずっていた」という。思わず口をついたのは「また自分のせいで金を逃した」。それでも仲間が、諦めさせてはくれなかった。「サブアリーナに戻って気持ちを切り替えて戻ってこれた。(萱)和磨さんが『絶対諦めんなよ、絶対いけるから』と。杉野選手も『諦めるな』と」-。

 最終種目の鉄棒。日本のラストの演技者を務める橋本は、仲間たちにお願いした。「背中を叩いてと頼んだけど、今の時代、コンプライアンスもあるから力は軽めに、思いだけ強めに、と」。ただ一人、強めに叩いていた人物がいた。「強かったのは萱選手」と明かした橋本は「萱選手のためにも取りたかった」と明かした。

 絶望のふちを仲間に救われたエースが、最後の最後に奇跡を起こした。

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