卓球男子で大波乱 世界1位・王楚欽が2回戦敗退 前日ラケット折られ予備使用も精彩欠く 中国5大会連続金・銀独占逃す 言い訳せず「多くのミス犯した」

 「パリ五輪・卓球男子シングルス・2回戦」(31日、パリ南アリーナ)

 前日に孫穎莎との混合ダブルスで金メダルを獲得したが、その後に歓喜の中で報道陣にラケットを折られた中国男子で、世界ランク1位の王楚欽が登場。予備用のラケットを使用するとしていたが、スウェーデンの同26位のモーレゴードに大苦戦の末、2-4で敗れる波乱があった。

 ショットが微妙に精彩を欠き、1、2ゲームを奪われると、3、4ゲームを意地で奪い返したが、第5ゲームは終始相手にリードを許す展開で、9-9で並んだものの、2ポイント連取されて、9-11で落とした。第6ゲームもモーレゴードが圧倒し、まさかの敗北となった。男子シングルスで中国は08年北京五輪以降、4大会連続で金、銀を独占してきたが、一角が崩れることになった。中国選手が他国の選手に敗れるのは04年アテネ五輪以来20年ぶりとなった。

 敗れた王楚欽は沈痛な表情で足早にコートを去り、大金星にモーレゴードはフロアに倒れ込んで歓喜。会場は騒然となり、勝者をたたえる歌声がこだました。

 試合後、王はラケットの影響を問われると「まあ実際には間違いなくそうなります」と、淡々と認めた。「多くの問題があり、多くのミスを犯したことが今日の失敗につながったと思います。試合に負けた本当の理由は自分自身。相手のサーブに変化があり、それに十分反応できなかった。今日の自分には勝つ力がなかった。反省しないといけない。相手のプレーヤーも非常に競争心が強かった。それが結果だ。ラケットは関係ない。この負けを反省して団体戦に向けて強くなって帰ってくる」と、言い訳はせず敗戦を受け入れた。

 前日の混合ダブルスで金メダルを獲得。歓喜の中、国旗を持って記念撮影を行っている際に、報道カメラマンがベンチ横に殺到。その中で王楚欽のラケットが踏まれてしまい、折れてしまう事態に陥った。折れたラケットを手に呆然とした表情を浮かべた王は「(ラケットが壊れた)その瞬間、私は感情のコントロールを失いました。なぜカメラマンたちがそんなことをするのか理解できませんでした。そんなつもりはなかったのだと思いますが」と怒りを滲ませながら、「すでに起こってしまったことなので、私には何も出来ない。控えのラケットを使えばまだいいプレーができると信じている」と、必死にシングルスに向けて前を向いていた。

 この問題を巡っては、元卓球金メダリストの水谷隼氏が自身のXで「ラケット折られたのは可愛そうすぎる。プロの選手は1グラム単位で重さを指定して、自分の持ちやすいグリップに加工して、汗や湿気で弾みも変わってその都度調整して馴染んできてやっと自信を持って信じれるようになる唯一無二のパートナーなのに。折れたラケットは絶対元に戻らない。時間をかけてやっと完成させたラーメンのスープを1から作り直してくださいと言われるようなもんだよ。同じくらいの実力の選手と、自分の物じゃないラケットで試合をしたら10000%勝てない」と、影響に懸念を示していた。

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