なぜ?村尾三四郎“幻の技あり”を鈴木監督が分析 足りなかった部分を指摘「今大会は取ってない。仕方ない」

 「パリ五輪・柔道男子90キロ級・決勝」(31日、シャンドマルス・アリーナ)

 村尾三四郎(JESグループ)は、東京五輪金メダリストのラシャ・ベカウリ(ジョージア)に合わせ技一本で敗れ、銀メダルとなった。

 「疑惑の判定」に泣いた。両者技ありを奪い、残り30秒となったところで村尾が内股を仕掛け、投げ飛ばされたベカウリは尻もちをついた。技ありかと村尾も視線を送ったが、審判は反応せず。場内には大ブーイングが響いた。

 その後、残り7秒で繰り出したベカウリの小内刈りが映像で認められ、合わせ技一本負け。村尾は呆然となる中、再び場内大ブーイングとなった。

 敗戦後、鈴木監督は「疑惑の判定」について冷静に分析した。尻もちはついていたが、ベカウリが畳についたのは右手のみ。両手をついていれば技ありだった可能性が高く、「今大会5日間を見ていると(技ありを)取ってないかな。仕方ない」と納得するしかなかった。

 「村尾のこの階級での立ち位置は自分は優勝する選手だと思っている。ベカウリ選手の存在が研究の対象だった。決勝で当たることを想定して何度も研究を重ねてきた。世界選手権の時もそうだったが、ポイントを先に取って、取り返される展開。同じ展開になって、2つ目の技ありをとる難しさと、スロースターターっぽいベカウリ選手の流れを断ちきることができなかった。前半リードして、じわじわ詰められる流れも分かってはいるんですが。それが対処しきれなかったのはまだまだ作戦が足りなかった」と振り返った。

 最後の判定については「僕も映像でみました。あのポイントは今回の五輪ではとってないなという印象です。ですので、この大会を通して、この5日目までの流れをみたら、取ってないという事で納得してます」と、認めた。今大会に限ってか?との問いには「今大会に限っての部分が大きいと思う。大会ごとにちょっとずつに違うが、あれは今回とってない印象の試合がいくつかあった。取らないんだと言われれば取らないんだろうなという印象。どうしてもあったでしょ、と自分がぐちぐちいうようなほどではなかったなと思う。しょうがないなというところだと思う。片手(右手)しかついてなかった。両手ついたらポイントだった。尻もちをついて両手だったらポイント。でも片手なので。ルール上そう書いてあるので」と、印象を語った。

 選手との情報共有については「共有はしてない。あれは狙ってできることじゃないですし、その時その時の相手のディフェンスの力とかタイミングにもよる。いちいち言ってもなんのこっちゃとなってしまう」と、説明した。

 最後の敗戦の場面については「何回か転がしてる小外刈りにいってる。あそこは勝負だったと思う。焦って技を出したようにみえなかった。本人なりに投げにいった結果。三四郎の戦いは反省するところではないし、しっかり戦ってくれたと思います」と、語った。

 コーチボックスの小野コーチは村尾の内股について「仕方ない」としながら、「それなら最後も(ベカウリの)ポイントを取らずにみて、延長でもよかったのでは?」と首をひねった。

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