ウルフ・アロン悔し涙あふれる 敗者復活戦で一本負け メダル逃す「一度は辞めようとした柔道」「心残りあります」
「パリ五輪・柔道男子100キロ級・敗者復活戦」(1日、シャンドマルス・アリーナ)
ウルフ・アロン(28)=パーク24=はスペインのジェラザジシビリと対戦。延長の末に内股透かしで一本負けを喫し、メダル獲得はならなかった。
両者激しい応酬もポイントは入らず延長戦へ。ウルフの小外刈りでぐらつかせた場面もあったが、しのがれた。最後は果敢に攻めたが、内股透かしに屈した。今大会、メダルなしは日本男子で初となった。
ウルフは「戦略的な部分でも技術的な部分でもやる余地があった。最後の最後、投げきって終わりたかったが、相手も対策していた」と振り返り、「一度はやめようとした柔道。結果を残すことができませんでしたが…。この舞台に戻って来ることができて良かった」と涙をぬぐった。
周囲のサポートに感謝を述べながら何度も涙をぬぐい、「たくさんの人が応援してくれた。集大成にしたかったので、心残りはあります」と唇をかんだ。
五輪連覇を狙った大会だったが、準々決勝でジョージアのスラマニゼに優勢負け。終了後は厳しい表情を浮かべたウルフだったが、銅メダルを目指す戦いへ必死に気持ちを切り替えた。
調子は悪くなかった。初戦はオーストリアのファラに合わせ技一本勝ち。2回戦ではポルトガルのフォンセカに対し、残り0秒の段階で鮮やかな内股を決めて一本勝ちしていた。
東京五輪金メダル獲得後、一度は引退もよぎりながら再起。代表権をつかみ、大舞台に戻ってきたが、悔しい結果となった。
◆ウルフ・アロン 1996年2月25日生まれ、東京都葛飾区出身。米国人の父と日本人の母を持ち、6歳の時に春日柔道クラブで柔道を始めた。東海大浦安高では2年時に団体で高校3冠を達成し、3年時は個人でインターハイ優勝。2017年の世界選手権で優勝、18年の全日本選手権で優勝、21年夏の東京五輪で金メダルを獲得したことで、史上8人目となる「柔道3冠」を達成した。左組み手で、得意技は大内刈り、内股。181センチ。