「パリ五輪・柔道男子１００キロ超級・３位決定戦」（２日、シャンドマルス・アリーナ）

　斉藤立（たつる、ＪＥＳグループ）がウズベキスタン・ユスポフに腕ひしぎ十字固めで一本負け。メダル獲得はならなかった。

　亡き父・仁さんは男子９５キロ超級で１９８４年ロサンゼルス、８８年ソウル五輪を連覇。親子で金メダルの夢は４年後へ持ち越しとなった。

　仁さんは２０１５年、がんのため５４歳の若さで死去。客席で、仁さんの写真を手に観戦した母の三恵子さんは「間近で頑張って来た姿を見てきた。やっぱり残念だし悔しいし、すごく辛い気持ちは息子と同じだと思います」と語った。

　初の五輪は準決勝、３位決定戦で敗戦と苦い経験となった。天国の仁さんは何と言っているか問われ、「負けパターンがいつも似ているので、今頃すごく怒っていると思います」と笑った。

　立が悔し涙を流し、「本当に応援してくれた方々に情けない気持ちでいっぱいです。申し訳ない気持ちしかなくて、日本に帰れるのか、今そう思っています」と語ったことについて、三恵子さんは「立らしいな。すごく優しい子なんで。いろいろ思いやってもらっていますが、申し訳ないとか思わなくていいし、私は家族なんで。あの子が負い目を感じなくていい」と思いやった。

　涙ぐんだ三恵子さんは会ってかける言葉を問われると、「４年後、始まったよね、頑張ろうとしか言えない」とし、「まだ伸びしろはある思うし。（表彰台の）一番高いところで、お父さんの写真を掲げる姿を見たい。だから４年は死ねない。元気で頑張ります（笑）」とうなずいた。