早田ひなが涙の銅メダル!「奇跡」呼んだ試合5分前の決断 痛み止め打った満身創痍の左腕振りきり韓国エース撃破「信じて戦った」

 「パリ五輪・卓球女子シングルス・3位決定戦」(3日、パリ南アリーナ)

 世界ランク5位の早田ひな(24)=日本生命=が、韓国で“天才卓球少女”として注目され、数々の歴代記録を塗り替えてきたという同8位のシン・ユビン(20)=韓国=と対戦し、4-2で勝利し、銅メダルを獲得した。日本女子では早田が長年ダブルスのパートナーを務めた21年東京五輪の伊藤美誠に続く2大会連続2人目のメダル獲得となった。

 早田は前日ストレート負けした中国の世界1位、孫穎莎戦に続いて、左腕にテーピングを巻いての戦い。第1ゲームは中盤まで互角の展開だったが、終盤に早田にミスが出て、9-11で落とした。シン・ユビンのかん高い絶叫が響き渡った。

 第2ゲームも接戦。10-9からのシン・ユビンの返球がエッジボールとなる不運もあったが、相手のゲームポイントをはね返して、13-11で奪いきった。

 第3ゲームは終盤にリードを奪われる展開となったが、追いすがると、9-10になったところで、シン・ユビンが1試合1回のタイムアウトを使用。再開直後でポイントを奪うと、12-10でものにした。

 第4ゲームは終盤に連続ポイントで突き放し、11-7で奪取した。第5ゲームは終盤に同点に追いついたが、10-10から相手に連取されて、落とした。

 第6ゲームは序盤からリードを奪うと、中盤に3連続失点で追い上げられて、7-5でタイムアウト。再開後のポイントをしっかりとものにし、そのまま押し切った。

 勝利が決まると、その場にしゃがみ込んで涙。そのままテーブルに寄りかかりながらもなかなか顔を上げることができなかったが、コートサイドに戻り、泣きじゃくった。

 その後は「おとといの試合で腕を痛めてしまい、そのギャップで自分の現実を受け入れられないままプレーしていた。きょうも同じような状況だったんですけど、最後ドクターに注射を打ってもらって、もしかしたらいけるかもという感覚があった。それを信じて戦った。試合の5分前までは20、30%の力でどう戦うかだった。注射を打って、100%近くまで戻った」と、試合前の状況を告白。満身創痍の状態に「もちろん金メダルを目指していたので、まさか神様にこのタイミングでいじわるされるとは思ったんですけど」と吐露しながら「でもみんなが支えてくれてどんな結果でもやりきって、銅メダルを、と思って戦いました」と、涙ながらに明かした。石田コーチも「信じられない。直前まで痛いと言っていた。100%ダメだと思っていたが、5分前によくなった。奇跡。朝の練習では卓球できる状態ではないかと思っていた」と、驚いた様子で振り返った。

 早田は前日の準決勝で世界ランキング1位、難敵の中国・孫穎莎と対戦。0-4のストレート負けを喫し、3位決定戦に回ることが決まった。1日の準々決勝、北朝鮮のビョン・ソンギョンとフルセットの死闘の影響で左手首にサポーターを巻いていたが、試合後「コンディションが100%じゃなかった。限界を感じたが、最後までプレーできてよかった」と明かした。石田コーチによると、「ちょっと時間がなかった。腕全体に違和感が出始めた。終わった後、どうしようかと。いろいろ協力してくれたが」。超音波治療、痛み止めを飲んで準決勝に臨んでおり、棄権の選択肢もがあったことも否定せず、「ある程度頭にはもちろんありました。でも、この舞台を4年後、経験できるかと言えばそうは限らない。できる限り、最後までやると決めたからには出ると」と話していた。3位決定戦に向けても「この状態でコートに立てるか分からないが、最後まで悔いなくやりたい」としていた。

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