【福原愛氏の視点】卓球女子日本代表 日本選手が中国選手に勝つには、五輪用の新しい何かの準備が必要

 「パリ五輪・卓球女子シングルス・準決勝」(2日、パリ南アリーナ)

 女子シングルス準決勝で、第3シードの早田ひな(24)=日本生命=は、東京五輪銀メダルで第1シードの孫穎莎(中国)に0-4で敗れた。元卓球日本代表で五輪2大会連続メダリストの福原愛氏は「中国選手に勝つには、五輪用の新しい何かの準備が必要」と指摘した。

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 早田選手の準決勝を見て感じたのは、体の状態もあると思いますが、中国選手の実力が本当に高いということです。1ゲーム目の序盤から、早田選手のフォアミドルとフォア狙いが見て取れました。早田選手のバックにほとんどボールを集めず、サイドに大きく飛ばす展開が多くて、研究し尽くしている感がありました。

 早田選手からすれば、ラリーになると一方的に点を取られる場面が多く、サーブやレシーブなどで工夫が必要だったかもしれません。もう少しストレートに攻めるとか、そういうことを増やす必要性があったとも思います。とはいえ、孫穎莎選手は一球一球のボールの質量が高く、なかなか思うようなコースに攻められませんでした。

 混合ダブルスは1回戦で負けてしまいましたが、初戦負けは気力も失ってしまいます。シングルスも相手が北朝鮮の選手だったのでプレッシャーもあったことでしょう。準々決勝は接戦でしたし、体力を消耗したことは理解できます。

 五輪を4回経験して思うのは、体力もそうですが、いかに気力を充実させるかが大事かということです。私の場合、気持ちの面を例えるなら海の深いところにいる感じでした。普通の大会が水深50センチとか1メートルのところだとすると、20~30メートルのところにいるようで…。ドロドロしていて空気も違っていて、というぐらい普通の大会とは違いました。

 リオデジャネイロ五輪で3位決定戦を経験しましたが、今思えば、もう少しやり方はあったかな、と8年たった今でも後悔しています。勝っても次に試合があるわけではなく、敗者復活戦とも違います。独特の雰囲気でした。負けてしまい、シングルスと団体戦の間に7キロ痩せて、体は極限状態でしたが、戦術の部分でこうしておけばよかった、という思いがあります。後悔のないように、というのが3位決定戦に対する思いです。

 日本選手が中国選手に勝ちにいくためには、五輪用に新しい何かを準備することが必要だとあらためて感じました。だれも研究していないサーブ、レシーブとか、相手の思考回路を一度停止させるようなプレーです。普段通りの精神状態でやることは必要ですが、技術や戦術については、五輪用に取っておくことも重要と思っています。

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