沸いた柔道団体戦「リネール劇場」に屈した日本 ルーレット抽選で英雄再び 鈴木桂治監督「盛り上げるなぁ」「これも運命」波乱続出の名勝負、最後は玉砕
「パリ五輪・柔道混合団体・決勝」(3日、シャンドマルス・アリーナ)
前回の東京大会銀メダルで、悲願の金メダルを狙う日本は、決勝で東京五輪金メダルのフランスと再戦した。本戦は3勝3敗の大接戦となり、ゴールデンスコア方式の代表戦は抽選の結果、男子90キロ超級に決定。斉藤立が五輪3度王者のテディ・リネールに再び敗れ、惜しくも金メダルには届かなかった。
最後は地元の英雄が全てを持っていき、「リネール劇場」だった。
日本は上の階級の選手に立ち向かった高山莉加、角田夏実が殊勲の勝利を挙げ、同じく上の階級のメダリストと対戦した阿部一二三が敗れるなど、波乱続出の名勝負となった。高市未来が親友のアグベニェヌに屈して3勝3敗となり、代表戦に突入。対戦階級を決める抽選のルーレット映像が回り、会場中の期待に吸い寄せられるように「男子90キロ超級」に決まった瞬間、爆発的な歓声が沸いた。
斉藤は本戦に続いてリネールと再び戦い、6分26秒の熱戦を演じたが、大内刈りでなぎ倒されて玉砕した。
日本男子の鈴木桂治監督は「(代表戦がリネール-斉藤戦で)これも運命かなと思いますし、さすがだな、盛り上げるなぁと。(IJFが)細工したとかじゃないですけど(笑)」と悔しげに振り返った。「立自身も苦しい戦いを昨日(個人戦で)して、きょうも不甲斐ない試合もしている。こういった経験が彼自身にはよかった。あそこで90キロ超級に当たったことが斉藤立という選手の運命なのかな」と、まな弟子に奮起を促した。
重量級のエース対決で完敗し、東京五輪に続いて団体戦で柔道大国フランスに屈した。鈴木監督は「やっぱり2回連続で同じ国に負けるのは悔しいですし、屈辱。そういった思いを持ち続けることと、勝つためにはどうするかっていうことを、もう1回考えていく。強い選手がいればいいってものでもないし、例えば階級を超えて試合をして勝てないわけでもない。戦術、チームの流れ、いろんなものが優勝の要素になる」と雪辱に決意を込めた。