「パリ五輪・陸上男子１００ｍ・準決勝」（４日、フランス競技場）

　前日本記録保持者のサニブラウン・ハキーム（２５）＝東レ＝は自己ベストの９秒９６をマークしたが３組４着で日本人選手９２年ぶりの決勝進出はならなかった。日本選手が五輪決勝に進めば、１９３２年のロサンゼルス五輪で“暁の超特急”と呼ばれた吉岡隆徳以来の快挙だったが、惜しくも届かなかった。

　２組までの結果で、決勝進出には日本記録（９秒９５）を超える９秒９３が必要になった。これまで五輪の決勝進出ラインの最速は３年前の東京五輪の１０秒００。一気に超高速化した世界の潮流に日本のエースも飲み込まれた形となった。

　レース後のサニブラウンとの一問一答は次の通り。

　－レースを終えて

　「いや～足りないっすね。マジで。マジで足りないっす。もっと行けたなって思います。走りの部分でまとめてこれなかったですね。８０メートルぐらいまでよかったんですけど、そこからちょっとテンポが停滞してしまった。もっともっとしっかりいかないといけなかった」

　－レース前のプラン

　「本当に９秒９５切ってくるぐらいはいかないと決勝にはいけないと思っていた。やっぱり五輪になってくるとまったく違う。そこは身に染みて感じた。ここでメダル取っている選手がいかにすごいのか、自分が出場したことによって感じた。レベルがもう全然違う。スタートは全然負ける気しなくて、勝負は７０メートルからと思っていた。」

　－前の組までの結果は

　「全く見ていない」

　－自己記録

　「自己記録は関係ない。勝てなきゃ意味ないので。自己ベストじゃ足りない。アジア記録出すぐらいじゃないと、メダルも取れないので」

　－この３年間の手応え

　「３年間、本当に１ミリ１ミリだけど前進はしてる。だけど、そんな悠長なことは言ってる暇はない。初めて世界陸上でたのが２０１５年で９年間もプロのレベルでやってる。ここからどれぐらい自分の競技人生長いかわからない。来年東京で世界陸上があって、２８年ＬＡの五輪もありますけど、本当にこういうところで結果出していかない。自分が前進していても海外の選手ももっともっと前進してますし、一生追いつけない。その差を縮めるためにもっともっと頑張っていかないといけない」

　－終盤まとめきれなかったというのは？

　「自分が思っているような動きができなかった。（体が）流れたというよりテンポが停滞して、もっと足回していかないといけないところだった。（そこができていたら）９秒９１、２ぐらいではいけたんじゃないですか」

　－レース後は頭を抱えた

　「やらかしたのはわかっていた。悔しさが１番最初にあった」

　－海外勢との差

　「タイムっていうのもあるが、ここまできたら速さ云々もあるけど、強い選手が上がっていく。もともと大舞台には強いと思っているが、それだけじゃ足りない。自分の１００％以上、１１０、２００％ぐらい出さないと上にはいけない」

　－五輪の舞台

　「楽しいですね。こういう舞台で走れるのは幸せ。自分という選手がこの舞台で走れたっていうのはうれしいし、誇りに思う」

　－来年は東京で世界陸上

　「またとない機会が、またくるとは思ってなかった。国立を満員にしたい。ここで結果出したかったですけど。まだ４継もありますし、この悔しさを胸にもっといい走りして、来年は笑って終わりたい」