レスリング 須崎優衣がまさかの初戦敗退 マットの上でぼうぜん チャレンジも覆らず、五輪連覇の夢断たれる

 「パリ五輪・レスリング女子50キロ級・1回戦」(6日、シャンドマルス・アリーナ)

 五輪連覇を目指す須崎優衣(キッツ)はインドのビネシュと対戦。まさかの初戦敗退を喫した。

 序盤は互いの動きを見ながら組み合う展開となった。先に須崎が1ポイントを先取すると、しっかりと相手を見ながら落ち着いて対処。休憩後も相手に隙を与えず、残り1分を前にポイントを加点。しかし残り10秒で相手に2点が加算され、2-2の同点ながら最後にポイントを取ったビネシュが勝者となった。

 試合終了後、ぼうぜんとした表情でマットの上に立ち尽くした須崎。チャレンジを行うも認められず、ビネシュの左手が掲げられた。

 試合後、涙を流しながら「今の私は五輪王者の器じゃなかった」「私のせいで支えてくれた人の思いを無駄にしてしまった」と語った須崎。「パリ五輪のチャンピオンになるために、人生懸けて3年間はレスリングだけに費やしてきたんですけど…何が足らなかったのか、どうしたら五輪王者になれるのか。見つめ直したいと思います」と明かし、まだ3位決定戦に進む可能性が残っているが「チャンスがあるならば、銅メダルの戦いはこれまで支えてくれた人のために、最低限、みなさんのために頑張りたいです」と声を震わせた。

 須崎は開会式にあたり、「五輪2連覇を必ず達成する。レスリングの面白さや素晴らしさを世界中に伝えたい」と、連覇にとどまらない、より広い決意を述べていた。

 米国の大手データ会社グレースノートが7月23日に公開したパリ五輪の最終メダル予想では須崎連覇。昨年9月の世界選手権では約3週間前に右膝を負傷しながら優勝しており、その強さは他を圧していた。

 ともに東京五輪で金メダルに輝いた志土地真優(ジェイテクト)や金城梨紗子(サントリー)は若手との代表争いに敗退。須崎は「五輪は簡単に行けるものではないし、だから価値がある。東京五輪で一緒に闘った皆さんの分まで頑張る」と思いも背負って臨んだ。

 東京五輪はレスリング女子代表6人で最年少だったが、今回は最年長。憧れる五輪4連覇の伊調馨(ALSOK)や3連覇の吉田沙保里さんは「背中で見せてくれていた」といい、「私もそういった存在になりたいと思ってやってきた」との自覚を持って競技に臨んでいる。今年は元世界女王の山本美憂さんと手合わせして「レジェンドのすごみ、重みを感じた。鳥肌が立った」と感銘を受けた様子で、「(先達から)バトンを受けて、私も強い女子レスリングを引っ張っていきたい」と考えている。

 昨年末には「絶対に2連覇して、その次の五輪へもつなげていけるように頑張りたい」と宣言し、「東京、パリ、ロサンゼルス、その次の五輪まで金メダルを取るのが今の大きな夢」と4連覇挑戦を初めて公言。「伊調さん、吉田さんのような偉大な先輩たちが憧れ。私にしかできない使命を果たしたい」と、レジェンドの系譜に自らの名を連ねるべく、研さんを積んできた。

 ◆須崎優衣(すさき・ゆい)1999年6月30日生まれ、千葉県松戸市出身。早大卒。小学1年でレスリングと出会う。中学2年でJOCエリートアカデミー入校。2017年、世界選手権初優勝。高校生の優勝は02年の伊調馨以来だった。世界選手権は18、22、23年にも優勝。21年東京五輪金メダル。155センチ。

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