田中佑美は準決勝進出ならずも「ぶつかるほど挑めた」ハードルに足ぶつけ5着で敗者復活戦へ モデル挑戦で話題の美しきハードラー
「パリ五輪・陸上女子100m障害・予選」(7日、フランス競技場)
田中佑美(富士通)は12秒90の2組5着で準決勝進出はならなかった。
好スタートを切った田中。中盤まで粘りの走りをみせていたが、3着争いで競り負けた。その後、タイム上位3人からも落ちてしまった。各組上位3人とタイム上位3人が準決勝に進出。その他は8日の敗者復活レースに回る。
レース後、田中は「前回、初めて出場した世界選手権はスタートで出遅れて歯が立たないレースをしてしまった。今回はスタートから出て、攻めに攻めに攻めようと思って走ったレースでした」と振り返り、「途中で激しくハードルにぶつけてしまって、それがなかったらもしかしたら3着に入れていたかもと考えると悔しいですけど、ぶつかるほど挑めた。ネガティブに考えずに敗者復活に臨みたい」と、見据えた。
田中は7月上旬、世界陸連(WA)が定めるパリ五輪出場資格獲得条件の世界ランキングで39位となり、40位以内の出場条件をクリアした。「ギリギリ」の五輪切符獲得となったからこそ、17日の取材では「出場して終わりではなく、どこまで順位が上がるか分からないと強い気持ちで臨みたい」と、自身の伸びしろをアピールした。
172センチの長身を生かした走りが持ち味で、昨季は日本人4人目となる12秒台をマークし、世界選手権に初出場するなど一気にブレークした。もっとも、世界選手権は予選敗退で「かなり後悔の残る世界デビューだった」と振り返る。
異色の“芸能系”ランナーだ。幼少期にはクラシックバレエを習い、宝塚音楽学校を目指した。実際に願書を取り寄せたが、本気で志すには「腰が重かった」と、自身の気持ちを自覚して受験を断念。その後は中学から始めた陸上に専念した。
今オフには「陸上を見たことが無い人にも興味を持ってもらえるいい機会」と、女性向けファッションメディア『BAILA』でモデルにも挑戦。「舞台に立つことは昔から好きだった。注目していただくことは昔から目指していたことに近いのかな」と話した。
◆田中佑美(たなか・ゆみ)1998年12月15日生まれ、大阪府出身。幼少期はクラシックバレエを習い、中学から陸上を始めた。関大第一高を経て立命大。20年セイコー・ゴールデングランプリ4位で、日本選手権は22年、23年ともに3位。23年世界選手権代表も予選落ち。同年のアジア大会3位。趣味は宝塚歌劇鑑賞とお菓子作り。172センチ。