須崎優衣 銅獲得も涙のワケは「悔しい」初戦負けで「喪失感」マット上では謝罪ポーズ 「ひとりの人間として私は幸せ」
「パリ五輪・レスリング女子50キロ級・3位決定戦」(7日、シャンドマルス・アリーナ)
須崎優衣(キッツ)が3位決定戦でウクライナ・リバチと対戦。10-0のテクニカルスペリオリティ勝ちで、銅メダルを獲得した。
金メダル候補として期待されていた須崎だったが、初戦でインドのビネシュにまさかの敗戦。悔し涙に暮れたが、3位決定戦で意地を見せた。
リバチとの戦いでは、鋭いタックルで相手を崩し、第1ピリオドを8-0とリード。第2ピリオドで10-0とし、試合を決めた。相手に何もさせず勝利が決まると涙があふれた。マット上で観客席へ向けて、両手を合わせる謝罪ポーズも見せた。
須崎は「目指していた金メダルでなく銅メダルで終わったが、必要最低限のことはできた。ただ、悔しい気持ちでいっぱい」と涙の心境に触れた。「一緒に戦ってきてくれた方、応援してくれた方々に申し訳ない気持ちでいっぱい。4年後のロサンゼルス五輪にぶつけて、またオリンピックチャンピオンになって戻って来たい」と先を見据えた。
銅メダル獲得後、両手を合わせたポーズについては「金メダルを獲得できずごめんなさいという気持ちと、応援してきてくれた方への感謝の気持ちでした」と心境を明かした。
前日はまさかの初戦負け。悔し涙に暮れたが、「パリ五輪の金獲得、4連覇の夢がふたつが同時に消えて、喪失感と、期待を裏切るような努力を無駄にすることで申し訳なかった。昨日はこの3年間の人生が全て否定されたというか無駄な時間を過ごしていたのかという気持ちと、いろんな方に協力していただいて、いろんな方の努力も無駄にして申し訳なかった。きょう、せめて勝って終わることで自分を肯定してあげたいと戦いました」という。
ただ、敗戦後、周囲の反応のイメージは違った。「思ってる以上に須崎優衣を応援してくれていて、負けたにも関わらず、励ましのメッセージだったり、送ってくれた方が本当に多かった。オリンピックチャンピオンの須崎優衣じゃないと価値がないんじゃないかと思ったが、ひとりの人間として応援してくださる方が多くて、私は幸せだなと思いました」と、感謝の言葉を繰り返した。
◆須崎優衣(すさき・ゆい)1999年6月30日生まれ、千葉県松戸市出身。早大卒。小学1年でレスリングと出会う。中学2年でJOCエリートアカデミー入校。2017年、世界選手権初優勝。高校生の優勝は02年の伊調馨以来だった。世界選手権は18、22、23年にも優勝。21年東京五輪金メダル。155センチ。