試練のパリ終え、前を向いた田中希実 「神様のいたずら」救済での準決で3年ぶり4分切り 決勝ならず涙も「いつかもう1回絶対立ってみせる」

 「パリ五輪・陸上女子1500m・準決勝」(8日、フランス競技場)

 予選では接触があり救済により準決勝進出を決めた日本記録保持者の田中希実(24)=ニューバランス=は自身の日本記録に迫る今季ベストの3分59秒70で11着となり、上位6着までに入ることができず2大会連続の決勝進出はならなかったが、東京五輪以来3年ぶり3度目の4分切りの快走。5000メートルの予選落ち、1500メートル予選では接触があり一度は敗者復活にまわるはずだったが、救済により準決勝進出。波乱万丈だったパリでの戦いを、最後に光が差し込む形で終えた。

 レース後は「4分を切るレースになると思っていた。自分だけの走りじゃなくてみんなの走りだということを表現することができた。ただ、最後に出し切れたかというとそこが苦しい展開だった。タイムという面では通れないものだったんですけど、神様のいたずらというかもう1回機会をいただいたおかげで、目に見える形で決勝というところがおみせできなかったのは、すごく残念なんですけど、いつかもう1回絶対立ってみせるという新たな気持ちを作れたレースだったと思います」と、救済から臨むことができた準決勝を振り返った。東京五輪以来となる4分切りに「もう1度4分を切ることが日本人でも可能なんだということをこの場を借りてお見せすることができた」と胸を張りつつ「日本人でも4分切れるとかじゃなく、4分とかそういう問題じゃなくて、どの選手も1秒でも早く前にということしかみていない。中身のつまったレースがあった。そういうレースに自分が最後の100mまで絡めるレースができたら」と、足元をみつめた。

 花の都での戦いを「苦しい時間が長かった大会。でも私にとって必要な時間というか、必要な試練であって、理不尽な苦しみではなく与えられるべくして与えられた時間だった。そういった時間を与えられたことがうれしいです」と、涙ながらに振り返り、前を向いた。

 

 ◆田中希実(たなか・のぞみ)1999年9月4日生まれ、兵庫県小野市出身。同志社大卒。2018年世界ジュニア選手権3000m金メダル。21年東京五輪1500mは日本人初の決勝進出で8位入賞。23年世界選手権5000m8位入賞。1000m、1500m、3000m、5000mなどの日本記録を保持。父はコーチも務める健智さん、母は97、03年北海道マラソン優勝の千洋さん。153センチ。

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