藤波朱理「ボコボコに」されて成長 本気スパー相手の伊調馨コーチがうなる20歳の向上心 五輪連覇にも期待「狙ってほしい」

 「パリ五輪・レスリング女子53キロ級・決勝」(8日、シャンドマルス・アリーナ)

 藤波朱理(20)=日体大=が圧倒的な強さを見せつけ、初出場で金メダルを獲得した。中学2年から続く公式戦連勝記録は137に更新。練習拠点の日体大では、五輪4連覇の伊調馨コーチ(40)=ALSOK=の指導を受けており、憧れの大先輩に一歩近づいた。

 「入学前から向上心が高い子だったが、それが衰えることなく今につながっている」。伊調は指導する藤波の印象について、そう語る。初めて手を合わせたのは藤波が高校生の時。出稽古先の日体大で練習していた憧れの伊調に積極的にスパーリングをお願いし、「もうボロボロのボコボコにされた」(藤波)。

 日体大に入学してからも、伊調が道場に来る日は毎日手を合わせるが、試合さながらの緊迫したスパーリングとなるため、周囲にも緊張感が走る。伊調は「朱理は1本1本のスパーリングも勝ちにこだわるし、本気で取りに来る。負けたら『もう1本お願いします』と。取られた部分の反省や、動きの確認、対戦相手の研究、やるべきことを全てやっている」とうなる。

 藤波は「馨さんからポイントを取れたら、世界の誰からでも取れるという自信になる」と、世界一への距離を測るバロメーターにしてきた。本気でぶつかったスパーリングの後は「あの技なんやったんですか?」とポイントを取られた技術を聞きにいき、対策を講じる。吸収力も高く、伊調は「1年、1年、どんどん進化してきたと実感している。1日1日の練習を無駄にしないし、常に24時間レスリングのことに人生を費やしているなと感じる。私も20代後半からはそう(ストイック)だったが、学生時代は遊んだりしていた。ここまで懸けてやっているのはすごい。誘惑に負けない子」と目を細めた。

 レスリングへの向上心、摂生した生活、そして競技愛。全ての要素が金メダリストになるにふさわしいものだった。五輪4連覇、公式戦189連勝という前人未到の偉業を持つレジェンドも、藤波の真価について「五輪を1回体験して、そこから(が本当の戦い)じゃないか。2大会目を目指すのか、その先の(違う)人生なのか。私は(五輪連覇を)狙って欲しいですけどね」と期待。「タックルは100%上手だが、レスリングの幅を広げる上でもタックル以外の技術を磨くともっと楽しくなってくる。(目標が)勝つだけだと苦しくなるが、レスリングそのものを楽しめるように。真面目な子なので、今は勝つことに集中しているけど、私の場合は遊びもしてきた。じゃないと続かない」。今後も五輪に挑戦し続ける上でのアドバイスを明かしていた。

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