マラソン男子 赤崎暁が6位入賞!MGCの伏兵から日本勢トップへ飛躍「超、楽しかったっす!最高っす!」
「パリ五輪・陸上男子マラソン」(10日、パリ市庁舎~アンバリッド)
日本の赤崎暁が2時間7分32秒の自己ベストで6位に入り、東京五輪6位の大迫傑に続いて日本勢は2大会連続の入賞を果たした。
序盤から集団の中でじっくりとチャンスをうかがっていた赤崎。28キロ付近の強烈な上り坂を乗り越えて一気に集団がばらけだしたが、赤崎は懸命に5位付近で追走。エチオピアのトラが抜け出した34キロ地点ではトップから10秒差の2位集団に加わった。
給水を境に集団のペースが上がった中、エッフェル塔が見えたところではやや遅れて5位に。それでも先頭のトラのペースが落ちてくる中、前を見据えてしっかりと背中を追った。最後は英国のケーレスらにかわされたが、6位で笑顔のフィニッシュとなった。
「超楽しかったっす!最高っす!」と語り「入賞できたのでうれしい。今まで一番最高でした。楽しかったです」と興奮気味に語った。「この3カ月間、落ち込むこともあったけど、練習の成果が出て良かった」と明かし、「オリンピックで入賞できて最高の一日になった」と声を弾ませた。
パリ市内のコースは道幅が狭くなる部分や、石畳、強烈なアップダウンなど過酷なレースとなっていた。終盤には両足の太もも裏がつりそうになったことを明かしたが、「2位を追いかけて後半大失速するよりは。もし追いつくようであればワンチャン、(メダルを)狙っていけばいい」とペースを抑え、自分の走りに徹した。無欲の走りが入賞へつながった。
赤崎はMGCで2位に入り、“伏兵”と言われた。過去2度のマラソンで35キロ以降で失速し、大きな実績がなかった中でパリ五輪の切符をつかんでいた。
バレー部だった中学1年時、町のマラソン大会で優勝。陸上部の監督に頼まれ、3年時まで毎日朝練だけ出続けたことが陸上との出合いだった。「楽しむ」が座右の銘。「正直陸上ってキツいけど、その中で楽しむことが大事。自分は練習でも笑いながら楽しんで走っている」と哲学を明かしていた
九電工からはメキシコ大会の佐々木精一郎以来56年ぶりとなるマラソンの五輪代表。「大学時代で終わろうかなと思っていたので。いろんな人に正しい道に導いてもらいました」と周囲へ感謝の言葉を語った赤崎。「僕はひっそりと走ろうと。注目されない方が(笑)。日本記録を出して強いって言いたい」と次なる飛躍のステージを見据えた。
◆赤崎 暁(あかさき・あきら)1998年1月21日生まれ。熊本県大津町出身。大津中1年から陸上を始める。開新高3年時に全国都道府県駅伝4区10位。16年から拓大に進学。箱根駅伝は1年から4年連続で出場。社会人2年目からマラソンを始め、デビュー戦だった22年の別府大分で2時間9分17秒。自己ベストは同年12月の福岡国際で記録した2時間9分1秒。九電工所属。170センチ、53キロ。