レスリング 鏡優翔が準決勝進出!得点取り消しのハプニングも動じず アニマル浜口氏の助言胸に悲願の金へあと2勝

 「パリ五輪・レスリング女子76キロ級・準々決勝」(10日、シャンドマルズ・アリーナ)

 鏡優翔(22)=サントリー=は、トルコのアダルイギトと対戦。タックルによる2点が相手のチャレンジによって取り消されるハプニングがありながらも、準決勝進出を果たした。

 第1ピリオドでタックルを決めたかに思われたが、トルコ側のチャレンジが成功して2点を取り消された。それでもアクティビティタイムによる1点を奪うと、第1ピリオド終了直前にはタックルを繰り出すなど、果敢に攻めた。

 第2ピリオドではいきなり開始10秒でバックを取って2点を追加。高速タックルに相手がついてこれず、最後は完封して勝負を決めた。

 1回戦ではエクアドルのレアスコバルデスと対戦。スタンドでは仲が良く、五輪女王になった藤波朱理が観戦。後輩のエールを背にマットへ上がると、スピードがある相手にしっかりと対応した。開始1分で相手のタックルによりコンタクトレンズが外れるハプニングもあったが、先に相手の消極的な姿勢により1点を先制。しかし相手が防御を固めてくる中、追加点を奪えず第1ピリオドが終了した。

 第2ピリオドも相手はカウンターを狙ってくる展開に。だがアクティビティタイムが課せられた中、足を持って場外に押し出して加点した。以降も相手に隙を見せず押し切った。

 17歳でシニアの日本一に輝くなど重量級の若きエースと期待された逸材だが、パリ五輪代表争いのスタートとなった22年12月に大胸筋断裂という大けがを負った。手術、リハビリで大きく出遅れたものの、不屈の闘志で昨年6月の明治杯で復活優勝を遂げ、代表決定プレーオフを制して世界選手権に出陣すると、女子最重量級としては日本勢20年ぶりの金メダルを獲得。悲願の五輪切符も手に入れた。

 5月に膝を痛めるなどの逆境が訪れたが、険しい道のりは慣れている。「死ぬ気で勝ち取った切符なので、這(は)ってでも絶対に出る。足1本折れようが、『死ぬ気で戦え』と昔から言われていたので」と覚悟を示し、「私の階級は五輪の最終日(8月10、11日)なのでまだ時間がある。(運が)ツイてる」と笑い飛ばした。

 女子レスリングが五輪種目となった04年アテネ五輪から、日本勢が唯一金メダルを手にしていないのが最重量級。第一人者だった浜口京子(46)も3度挑戦したが、屈強なフィジカルを誇る海外勢に阻まれてきた。悲願の金メダルを託された鏡は、代表内定後に浜口や父のアニマル浜口氏(76)に取材などで会って話す機会もあり、「このまま突き進めば金メダルを取れるよ」と背中を押されたという。「重量級の先輩たちの思いも背負って戦いたい。(浜口親子から学んだのは)やっぱり、気合ですね(笑)」と拳を握った。

 ◆鏡 優翔(かがみ・ゆうか)2001年9月14日、山形県出身。小学1年から栃木サンダーキッズでレスリングを始めた。中学3年で上京し、JOCエリートアカデミーに入校。東洋大を経て、今春の卒業後はサントリーに入社した。高校2年時の18年に全日本選手権を初制覇。23年世界選手権で、女子最重量級では日本勢20年ぶりとなる金メダルを獲得し、パリ五輪代表にも内定した。168センチ。

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