「アレ!アレ!」会場最も沸かせた154センチの小さな巨人 悔し4位の森秋彩、逆襲のリード1位も「完登できず悔しい」 晴れ晴れ「楽しく登れた」

 「パリ五輪・スポーツクライミング女子複合・決勝」(10日、ルブルジェ・スポーツクライミング会場)

 23年世界選手権銅メダリストで、初出場の森秋彩(20)=茨城県連盟=が合計135・1点で4位に終わり、東京五輪銀メダルの野中生萌、同銅メダルの野口啓代に続く日本女子2大会連続メダルはならなかった。ボルダー7位から、得意のリード1位で逆襲したが、表彰台にはあと一歩届かなかった。ヤンヤ・ガルンブレット(スロベニア)が168・5点で2連覇を達成した。

 試合後は「まずは目標にしていたリードでトップ(ホールド)をとることができなかったのは悔しい。(ボルダーで)得意なスラーブを登れず、なるべくしてなった成績だと思うので、素直に受け入れようと思います」と振り返り、初の五輪を「緊張する場面でしたけど、楽しく登れました。そこはよかったです。この五輪という大きな舞台で自分らしく登れたのはこれまで色んなことを乗り越えた成果かなと思う。自信持っていいかなと。雰囲気に飲まれそうになったんですけど、最後は自分らしく終われたのでよかったです」と、うなずいた。

 森は前半のボルダーで苦戦し、7位と出遅れた。ボルダーでは森は8人中6人が完登した1課題目でポイントを取れずに終わると、2課題目も6人が完登する中、中間のポイントまでにとどまった。3課題目は完登したが、4課題目も完登できず、39点と得点を伸ばせず、リードでの巻き返しを期していた。

 リードでは序盤から154センチの小さな体の全身を使い、ぐんぐんと高度を上げていくと、会場の盛り上がりも最高潮。「アレ!アレ!」とアナウンスもされた。ホールド間の離れた終盤の厳しい区間も力強く登り、完登目前まで迫り、96・1点をマーク。残り3人を残し、暫定トップに立ったが、後続の3人に抜かれた。

 メダルを逃す結果に複雑な表情を浮かべたが、金メダルを獲得したガルンブレットに拍手を送り、笑顔でハグを交わした。

 予選はボルダー11位と出遅れたが、得意のリードでは完登目前までいき堂々の1位タイ。総合4位まで順位を上げて、決勝進出を決めた。

 森は競技後「決勝はもっとハードだと思うし、面白い課題だと思う。ノビノビ登って、ありのままの姿で見ている人に、他の人をプッシュできるような登りができたら」と、振り返っていた。

 初出場となるパリ五輪。昨年8月の世界選手権の女子複合で銅メダルに輝き、スポーツクライミングの日本勢最速でパリ五輪出場を決めた森。「大きな目標はパリ五輪で金メダルを取ること」と世界の頂点を目指して臨んだ。

 自身初の大舞台に、大会前には「今の真っすぐな気持ちで突き進んで、本番を迎えられたら」と意気込みを語っていた。

 ◆森秋彩(もり・あい)2003年9月17日、茨城県出身。小学1年で競技を始めた。リードを得意とし、19年の世界選手権の同種目では銅メダルを獲得した。W杯では22年に初優勝し、複合と合わせて3勝を挙げている。筑波大在学中。154センチ。

パリ五輪最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス