「パリ五輪・レスリング女子７６キロ級・決勝」（１１日、シャンドマルス・アリーナ）

　鏡優翔（２２）＝サントリー＝は、ブレイズ（米国）を３－１で下し、日本女子最重量級初となる金メダルを獲得した。これでレスリングは過去最多となる１大会８個目の金メダル。日本選手団２０個目の金メダルで金ラッシュを締めくくった。

　先に１点を奪ったが、その後場外に押し出されて同点に。後半は「カガミ」コールに背中を押されながら、タックルから２点を奪うと、そのまま押し切った。

　０４年アテネ五輪、０８年北京五輪銅メダルの浜口京子らが届かなかった頂に、２２歳が立った。悲願達成後は「カワイイ」と書かれた白いマウスピースをみせながら笑顔満開。前田翔吾コーチを抱え上げて投げた後、肩車し、日の丸とともにウイニングラン。両手で自身のモチーフであるひまわりポーズを決めた。

　客席では仲が良く、刺激し合ってきた藤波朱理も観戦し、思わず涙。藤波が金メダルを取った際には鏡が涙を流したが、しっかりと自身も約束の金メダルを手にした。

　インタビューでは「みんなが涙流して喜んでくれたことが１番の私の幸せです。緊張すらも楽しんで、五輪を過ごしました。ずっと目指してきた誰も成し遂げたことがないことを私がこの手で掴んだのは本当にうれしい。今までやってきた選択の答え合わせができたかなと思います」と、語った。

　１大会最多８個の金メダルに日本レスリング協会の赤石光生強化本部長は「選手が頑張った」とたたえた。

　◆鏡　優翔（かがみ・ゆうか）２００１年９月１４日、山形県出身。小学１年から栃木サンダーキッズでレスリングを始めた。中学３年で上京し、ＪＯＣエリートアカデミーに入校。東洋大を経て、今春の卒業後はサントリーに入社した。高校２年時の１８年に全日本選手権を初制覇。２３年世界選手権で、女子最重量級では日本勢２０年ぶりとなる金メダルを獲得し、パリ五輪代表にも内定した。１６８センチ。