パリで輝いた日本勢 金メダル20個 フェンシング&レスリング躍進 誤審騒動やSNS誹謗中傷問題も勃発

 「パリ五輪・閉会式」(11日、フランス競技場)

 パリ五輪は11日、パリ郊外サンドニのフランス競技場で閉会式が行われ、17日間の大会が幕を下ろした。日本の金メダル数は米国、中国に次ぐ世界3位の20個で、銀は12、銅は13で総数は45個。金メダル数、総数とも海外開催の五輪では最多で、前回東京五輪に次ぐ歴代2位と活躍した。新型コロナ禍で原則無観客だった3年前の東京大会と対照的に、会場は連日盛況。本紙五輪キャップの藤川資野記者が、100年ぶり3度目の開催となったパリでの祭典を総括した。

 日本選手団は目標に掲げていた金メダル20個に到達し、海外開催では最多となった。特に前半はフェンシングが躍進し、過去最多5個のメダルを獲得。後半はレスリングで女子53キロ級の藤波朱理が圧倒的な強さで頂点に立つなど、過去最多の金メダル8個とラッシュで大会を締めくくった。

 主役も花の都で輝いた。陸上女子やり投げでは、北口榛花が投てき種目では日本女子初の金メダルを手にし、明るいキャラクターでも日本列島を沸かせた。スケートボードのストリート男子では堀米雄斗が連覇達成。決勝ラスト1本で超大技を完璧に決め、観客を総立ちさせるカリスマ性には鳥肌が立った。

 歴史的快挙も目立った。総合馬術団体では“初老ジャパン”が92年ぶりとなる銅メダルを獲得。近代五種では佐藤大宗が史上初の銀、飛び込みでも玉井陸斗が史上初となる銀メダルに輝いた。

 一方で波乱もあった。柔道女子52キロ級では東京五輪金メダルの阿部詩が一本負けし、号泣した。また、レスリング女子50キロ級でも東京五輪女王の須崎優衣がインド選手に屈し初戦敗退。銅メダルは死守したが、絶対女王の陥落は衝撃的だった。

 団体競技は苦戦を強いられた。52年ぶりの金メダルを目指したバレーボール男子は8強止まり。女子は1次リーグで敗退した。バスケットボールは八村塁、渡辺雄太らを擁する男子が1次リーグで強豪フランスに終盤リードを奪ったものの、残り10秒で追いつかれ惜敗。1勝も挙げられず、女子も3連敗で去った。

 熱戦に水を差す出来事もあった。柔道男子60キロ級では永山竜樹が相手に絞め技をかけられ「待て」が掛かってからも6秒絞め続けられ失神。それが一本負けと判定される誤審騒動が起きた。また、国内では選手に対するSNSでの誹謗(ひぼう)中傷が社会問題化。日本オリンピック委員会(JOC)が緊急声明を出す異常事態となった。

 メダルだけが全てじゃない。初採用されたブレイキンの半井重幸は4位に終わったものの、勝ち負けを超えて全力で自己表現するという、都市型競技のさわやかな価値観を改めて提示した。

 そして、大会取材を通じて最も印象に残ったのが地元フランスの熱い応援だった。自国選手や勝者のみならず、敗者にも温かい拍手が贈られた。柔道の混合団体決勝では、代表戦でルーレット抽選により選ばれたフランスのリネールと日本の斉藤立が再戦。6分超の激闘の末に玉砕したが、王者と真っ向勝負を繰り広げた斉藤への賛辞も止まらなかった。

 祭りは終わったが、余韻が残る。心の中のルーレットは何度回っても「+90kg」で止まったままだ。(デイリースポーツ・藤川資野)

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