上野由岐子が魂の連投 七回途中10K2失点 仲間に感謝!充実の39歳バースデー
「東京五輪・ソフトボール・1次リーグ、日本3-2メキシコ」(22日、福島県営あづま球場)
宇津木ジャパンのエース、上野由岐子投手が39歳の誕生日を迎えたメキシコ戦で2日連続の先発を務めた。七回途中まで5安打2失点、10奪三振の力投を見せた。チームは延長八回、タイブレークの末に3-2でサヨナラ勝ちし、初戦から2連勝。日本は次戦、24日にイタリアと対戦する。
バースデー星はならなかった。「体はいっぱいいっぱい。39歳をリアルに感じて投げてました」。そう言いながらも上野はどこかうれしそうだった。
走者を残して19歳下の後藤に継投した。「先輩としてもうちょっといい形でバトンタッチしてあげたかった。誕生日だし期待に応えたかった」。踏ん張れなかった自分を、みんなが救ってくれた。
後藤が窮地を救った後の八回1死三塁。三走・山田がスタートを切り、打席の渥美が食らい付いて遊撃の前に転がした。もぎ取ったサヨナラ勝ち。「後藤がしっかり抑えてくれて、すごくいい試合ができて本当によかった」。一人で投げ切ることとは違う充実感。「接戦で勝てたことで団結心、一体感が高まってくる」。仲間からの何よりの誕生日プレゼントだった。
初戦で85球。連投にもかかわらず、三、四回の3三振など中盤まで奪三振ショーを繰り広げた。しかし、相手のフルスイングに疲労が蓄積。2-1の七回に同点にされ降板した。七回途中で121球、5安打2失点、10奪三振と貫禄は見せた。
1年前の7月22日。自身の誕生日でコロナ禍がなければ競技開始だったこの日、上野は本番を見据えて福島を訪れていた。そこから考え続けた「復興五輪」の意味。与えられた2戦を投げて、答えは見つかったのか。
「復興五輪としてこの地が選ばれた。風評被害などでいろんな思いの中、福島の人たちがこの五輪を成功させようとしてくれている。その思いに自分たちがどれだけ応えられるかが答えだと思う」
1球1球、真心込めて投げ抜いた。「自分の持っているすべてをこのグラウンドに置いてこられたかな」。一つの大きな仕事は終えた。残された仕事は、2大会連続の金メダルただ一つになった。