日本選手団主将・山県亮太 感謝を胸に石川佳純と選手宣誓「精いっぱい走りたい」
「東京五輪・開会式」(23日、国立競技場)
東京五輪の開会式が23日、国立競技場で行われた。各国の選手が入場し、日本選手団は最後に登場。陸上男子で日本選手団主将を務める山県亮太(29)=セイコー=は、副主将を務める卓球女子の石川佳純(28)=全農=とともに選手宣誓を行った。山県は文書でコメントも発表。新型コロナウイルス禍での五輪開催への思いや、競技への意気込みをつづった。
選手人生で一度きりの自国五輪が幕を開けた。コロナ禍で世界が混乱に陥る中、アスリートは大会の中止や延期など何度も苦しい状況に立たされ、世間の厳しい声が耳に入ることもあった。だからこそ山県が選んだ言葉も重かった。
「開催にあたりさまざまなご意見があることは承知しております。この場に立たせていただけることに感謝し、精いっぱい走りたいと思います」
開催されるからには、選手はただ競技に向き合うだけ。山県も「日本代表選手団の主将として、TEAM JAPANが最大のパフォーマンスを発揮できるよう役割を全うします」と誓いつつ、「皆さんの応援が力になります。どうぞよろしくお願いいたします」と呼びかけた。
開会式では、副主将を務める石川とともに選手宣誓の大役を全うした。「私たちはチームの名誉のために、オリンピズムの基本原則にのっとり、スポーツを通じて世界をよりよい場所にするために、このオリンピック競技大会に参加することを誓います」。スポーツの価値が問われる今だからこそ、男女の声で読み上げられた世界平和を願う言葉には力が込められた。
コロナ禍は多くのものを変えてしまった。今年に入って急激に調子を上げた山県も、昨年が五輪だったら代表になれていなかったかもしれない。人々が運命に翻弄(ほんろう)される中、貫き通したい信念がある。「100メートルでは決勝進出、リレーでは金メダルを目標としています」。過去の自分を超える走りで、暗い世界を照らす光となる。