サーフィン代表・大原洋人 地元五輪で「金メダル目標」 会場は両親と通った海岸

 東京五輪で注目される新種目のサーフィンが25日に開幕。波の上の駆け引き、多彩な技など迫力満点で、鮮烈な“五輪デビュー”となりそうだ。男子で五輪会場の釣ケ崎海岸がある千葉県一宮町出身の大原洋人(24)がデイリースポーツの取材に応じ、五輪代表として、初の夢舞台への思いを語った。

 地元一宮町での五輪開幕を前に、大原は期待に胸を膨らませていた。

 「五輪会場でサーフィンをしてて、ここで試合をやるんだなって実感はだんだん湧いてきてます」

 五輪最終予選のワールドゲームズ(WG=世界選手権に相当、6月閉幕、エルサルバドル)では、五輪選考でリードしていた盟友・村上舜を直接対決で破り、大逆転で五輪切符を獲得。その試合から1カ月がたった。

 「地元に帰ってきて、おめでとうっていう言葉がたくさんあって。あの場で勝てて良かったなって改めて思いましたね」

 家族は大原が4歳の頃に千葉県茂原市から海が近い一宮町に移り住んだ。初めて波に乗ったのは小学1年で、ボディーボードをたしなむ母・由紀さんと一緒だった。

 「お父さんが趣味で毎日サーフィンに行ってて。自分もしたくてしょうがなかった。お母さんもボディーボードで毎日のように海に入ってたんで、小さい波にお母さんが連れてってくれて、初めてやりましたね」

 最初から才能はあったという。

 「初日からなんとなく立てました。海から帰ってきて、家でお父さんに立ち方とか、どこを見た方がいいとか細かく教えてもらって。『それはもう明日試してみよう!』と。次の日からだんだんできるようになりました」

 自然と熱中したのには理由もあった。

 「波に乗る感覚がすごく新鮮だった。当時1年生でサッカーをやったり友達と遊んだりスポーツをやったりするのが大好きで、何をやっても楽しかった。けど波に乗って勝手に進んでる感覚がすごく新鮮で。乗り物に乗ってるような感覚で。何回も何回もそういう感覚を味わいたい、みたいな感じでハマっていきました」

 小学2年で本格的に競技を開始。めきめきと実力をつけ、18歳だった15年には全米オープンで日本人初優勝の快挙を成し遂げた。

 「何かこう“ハプニング”みたいな。狙ってはなかった。プレッシャーだったりとかそういうものも全然なかったし、本当に楽しめていた」

 その後は伸び悩み、期待された世界最高峰チャンピオンシップツアー(CT)には手が届かなかったが、何とか五輪切符を手中にした。地元での開催に、気持ちは誰よりも高まっている。

 「慣れている場所なので自信もあります。これ以上に自分が勝てる可能性がある場所はない。力を存分に発揮したいなって思いますね」

 狙う場所はただ一つだ。

 「優勝。金メダル取ることが目標です。あとは本当に地元の人たちが(テレビなどを通じて)たくさん見てくれると思うので、感動を与えられるようなサーフィンがしたい」

 サーフィンは無観客開催が決まったが、背中を押してくれる存在は変わらない。大原は7月7日に結婚し、現在、妻は妊娠中だ。

 「守るものができた。今の方が自分のためだけじゃなくて、自分の家族のために頑張りたいとなという気持ちが増えました」

 背負う気持ちも大きくなった。地元五輪の好機を生かし、最も輝く色を狙いにいく。

◆大原洋人(おおはら・ひろと)1996年11月14日生まれ。東京五輪会場の釣ケ崎海岸がある千葉県一宮町出身。父の影響で8歳から本格的に波に乗り初め、高校時代は米ハワイを拠点に活動した。15年に18歳で世界の強豪がそろう全米オープンを日本人初制覇。家族は両親、姉、愛犬2匹と妻。21年7月7日に結婚し、妻は妊娠中。162センチ、62キロ。

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