阿部一二三少年、丸刈りへのこだわり 地元ヘアサロンのカット担当が振り返る素顔
「東京五輪・柔道男子66キロ級・決勝」(25日、日本武道館)
阿部一二三(23)=パーク24=が、バジャ・マルグベラシビリ(ジョージア)に優勢勝ちで初制覇。
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地元神戸市兵庫区のヘアサロン「シェ・コアフュール・アソ」の店主・阿曾英岳さん(44)は、柔道漬けだった一二三少年のリラックスした顔を知る一人だ。小学高学年から高校卒業までカットを担当。最初は柔道をやっていると聞いていただけだったが、中学に上がってからは徐々に新聞にも載るようになった。「おいおい、すごいな」。月1回ペースで来店する度に強くなる少年に驚かされていた。
髪形へのこだわりは強く、カウンセリングだけで20分。柔道をやっているため高校までは丸刈りだが、オシャレ好きの一二三は小さな“抵抗”を試みていたという。「ちょっとモヒカンっぽくしたい」。周囲からバレない程度のアレンジを頼まれ、トップとサイドの長さを数ミリ変えたことも笑い話だ。
勝負師の顔ものぞかせた。当時から試合3日前になると必ず来店して髪の毛と気持ちを整えた。普段は年相応の少年だったが、柔道の話題になると「絶対に引かない」「柔道は心理戦」などと勝負論を語った。また、詩が力をつけるようになってからは「アイツはほんまに俺より強いかも」と感嘆まじりに明かしていたという。
上京後は来店する機会もなくなったが、たまに帰省する際は立ち寄ってくれるといい、18年1月の成人式前にはセットも担った。「うれしかったですね。あんなすごい選手を切っていたのは誇りです」。