五十嵐カノア首位通過 新種目サーフィン“五輪デビュー”日本エースが貫禄

 3回戦進出を決め、笑顔を見せる五十嵐カノア
 波から飛び出す五十嵐カノア
2枚

 「東京五輪・サーフィン男子・1回戦」(25日、釣ケ崎海岸サーフィンビーチ)

 新種目のサーフィンが“五輪デビュー”を果たした。4人で争う1回戦は、男子で金メダル候補の五十嵐カノア(23)=木下グループ=が12・77点で2組首位となり、上位2人が進む3回戦へ。会場の釣ケ崎海岸がある千葉県一宮町出身の大原洋人(24)も2位で通過した。女子は都筑有夢路(20)と前田マヒナ(23)が2回戦に回ったが、ともに3回戦に勝ち進んだ。

 盟友と誓い合った初代王者へ、日本のエースが貫禄を見せつけた。五十嵐は初戦の中盤でS字に滑る「カービング」から波の頂点で鋭く板を切り返す「オフザリップ」を2発決め、6・67点。残り9分でも6・10点をマークし、抜群の安定感で首位通過を果たした。

 「一緒に金メダルを獲って、一緒に金メダルの写真を撮ろう」-

 23日の五輪開会式。同じ米カリフォルニア州を拠点とする、スケートボードの堀米雄斗(XFLAG)と、日本の地を踏みしめて誓い合った。ともに出場するのは五輪新種目の横乗り競技。初戦も同日とまさに“運命”を感じていた。「頑張ろうね」、「あと1週間たったら金メダルをかけて写真を撮りたいね」。そう言葉を交わすと、五十嵐の中で自然と「力が出た」。

 五輪初戦は緊張感さえも味方にした。試合前は「サーフィンが初めて五輪に入る。朝起きて『夢かな?』と思うくらい強い気持ちだった。すごくプレッシャーを感じた」と武者震いしていたが、波に乗った途端に「プレッシャーが解けて、力に変わった」。強い決意が背中を押していた。

 五十嵐が初戦を終えた数時間後、堀米が金メダルを獲得した。五十嵐は自身のインスタグラムのストーリーに堀米の映像を載せ、「ありがとう」とつづった。開会式で撮ったツーショットも投稿。堀米の首下には金メダルの画像を加工し、心からの祝福を送った。

 ともに、金メダルへ-。約束の半分は達成された。1週間後には、2枚の黄金メダルをそれぞれの胸に輝かせる。

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