素根輝「オリンピックの金メダルは特別」勝って涙、会見では笑顔
「東京五輪・柔道女子78キロ超級・決勝」(30日、日本武道館)
素根輝(21)=パーク24=が決勝で北京五輪銅、ロンドン五輪金、リオ五輪銀メダリストで世界ランキング1位のオルティス(キューバ)との激闘の末、勝利。2004年アテネ大会の塚田真希以来、78キロ超級で4大会ぶりの金メダルを日本にもたらした。
メダリスト会見で「このオリンピックで金メダルを必ずとるという目標で練習してきたので、うれしい気持ちとほっとした気持ちでいっぱい、初日からメダルを獲得してすごいなと思っていたのと、自分もそれに続かないといけないなと思って戦いました」と激闘を振り返った。
金メダル直後はあふれる涙が止まらなかった。時間を置いて行われたメダリスト会見はマスク越しに笑顔をのぞかせた。
首から提げた金メダル。「オリンピックの金メダルは特別なので、本当にいろんなことが詰まった金メダルだと思います」とここまでの道のりを振り返った。
攻めの姿勢が金メダル。その瞬間、涙があふれ出た。激しい組み手争いをしつつ、お互いに慎重な攻防が続き、ゴールデンスコア方式の延長戦に突入。5分過ぎに互いに指導が出された。積極的に技を出す素根、受け身に回るオルティスには7分50秒過ぎて2つ目の指導。さらに8分52秒、3つ目の指導が出されて勝負は決まった。
座右の銘は“3倍努力”「きついこと、苦しいことがたくさんあったんですけど、“3倍努力”という言葉を貫いてやってきた。ただ本当に金メダルを取りたいという気持ちでした」と話し、目標をかなえた瞬間には「家族の顔が浮かびました。日頃から沢山支えてくれてだれよりも応援してくれて、いろんな面で支えてくれたので感謝の気持ちでいっぱいです」と明かした。
コロナ禍で行われた五輪。「こういう大変な状況の中でこういった舞台で、また、海外の選手と戦うことが出来て幸せです。何があっても努力する大切さを今回、感じました」と言う。
31日は混合団体戦を控える。「もう一つ金メダルをとれるように1戦1戦全力で戦ってチームに貢献したいです。1人1人が自分の役目を果たせば金メダルを取ることができると思う。心強い仲間がいる」。次は仲間と共に自身2つ目の金メダルを取りに行く。
◆素根輝(そね・あきら) 2000年7月9日生まれ。福岡県出身。19年に環太平洋大に入学。バルセロナ五輪男子71キロ級金メダリストで3月24日に亡くなった古賀稔彦総監督に師事し、夏の世界選手権で優勝。同年11月のグランドスラム(GS)大阪大会も制し、柔道では最初に東京五輪日本代表に内定。コロナ禍で20年7月には柔道に専念するため自主退学し、地元・福岡を拠点に練習。今春から上京しパーク24に入社し、日大に入学。出稽古などで実力を磨いた。座右の銘は「3倍努力」。