高倉監督の誤算「急速な進歩の幅が」 なでしこ準々決勝敗退 田中美南2戦連発も及ばず

 「東京五輪・サッカー女子・準々決勝、スウェーデン3-1日本」(30日、埼玉スタジアム)

 日本はスウェーデンに1-3で敗れ、準々決勝敗退。銀メダルを獲得した2012年ロンドン五輪以来、2大会ぶりのメダル獲得は夢に終わった。前半7分に先制点を許したあと、同23分にFW田中美南(27)=INAC神戸=のゴールで同点に追いついたが、後半8分、同23分に追加点を奪われた。

 メダル獲得の夢は破れた。2011年ドイツ女子W杯優勝、12年ロンドン五輪銀メダル以来の世界舞台での復権を狙ったなでしこジャパンは目標に届かず、ベスト8で散った。

 メダルへ何が足りなかったのか問われた高倉麻子監督(53)はしばらく考え込むと「今、自分の頭で整理して答えるのは難しい」と返答。「世界中の女子サッカーの急速な進歩の幅が自分の計算とはちょっと違っていたのかなと思います」とも誤算を語った。

 高さと速さを兼ね備える相手に序盤から猛攻を浴びた。前半7分に早くも先制を許す。それでも16年リオデジャネイロ五輪銀メダルの相手に粘り強く応戦した。前半23分にはMF長谷川の右クロスにFW田中が左足で合わせて同点に追いつく。一時はペースを握りかけたが、後半2失点で力尽きた。

 リオ五輪出場権を逃した後に発足した高倉体制。東京五輪での金メダル獲得を目標に掲げたが、及ばなかった。試合後、進退について問われると「私自身が決められることではないですし、自分自身の思いはありますけれども、今ここでそれを言うべきことはないと思うので。それだけです」と明言を避けた。日本協会は今回の結果を分析し、8月の女子委員会で検討。退任の可能性もある。

 11年W杯で世界の頂点に立ち、東日本大震災直後の日本に勇気を与えたなでしこジャパン。あれから10年、自国五輪でコロナ禍の日常に再び希望をもたらしたかったが、現実は厳しかった。

 9月には日本初の女子プロリーグ「WEリーグ」が開幕する。23年7月にはニュージーランドとオーストリアでW杯が共催。来年1月にはW杯予選を兼ねたアジア杯(インド)が待ち構える。なでしこ復活へ、この敗北を受け入れ、前に進んでいくしかない。

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