入江聖奈 金へ王手「強気のツノガエル作戦」成功で僅差判定勝ち 阿部詩に「並びたい」
「東京五輪・ボクシング女子フェザー級・準決勝」(31日、両国国技館)
女子フェザー級準決勝で、入江聖奈(20)=日体大=が、アーティングストール(英国)に3-2で判定勝ちし、銀メダル以上が確定した。8月3日の決勝で2019年世界選手権覇者のペテシオ(フィリピン)と対戦する。
扉をまた一つこじ開けた。「青コーナー」のコールに「まさか呼ばれた」と笑顔でバンザイ。全ジャッジが1ポイント差の3-2という僅差での勝利で、初五輪に挑む日本女子が、一気に頂上決戦へ駆け上がった。
準決勝の相手は、19年世界選手権銅メダルの実力者。手数を稼いでくるサウスポーに「相手の左の威力が強くてガード越しでもよろけてしまった」と苦戦した。それでも、慌てず敵を迎え入れて的確にカウンターをヒット。有効打で評価を得た。
その名も「強気のツノガエル作戦」。子どもの頃から指導を受けてきた地元鳥取のシュガーナックルジム・伊田武志会長の教えで、入江がおたまじゃくしからカエルを飼うほど好きなことから名付けられた。ぴょんぴょん跳ねるカエルとは違い、ツノガエルは「どしっとして攻撃力が強そう。相手に圧をかけるという意味。心の奥底に引かないという意識があったので、それが重要な場面で生きた」と作戦成功だ。
天真らんまんな日本代表最年少のムードメーカーは、同じ日体大3年で柔道女子の阿部詩をキャンパスで見ても「まぶしい」と正視できない。しかし「雲の上の人」と同じ金メダルまであと一歩。「ここまで来たら金メダルを獲りたい。(阿部に)並びたいと思います」
決勝の相手、ネスティ・ペテシオ(フィリピン)とは2勝1敗。日本女子初の五輪出場から一気にメダル獲得へ。そして、自らが光を放つ存在になる時が来た。