18歳北園丈琉は鉄棒6位に涙「3年後は日本の頼れるエースに」大けが乗り越え五輪
「東京五輪・体操男子種目別鉄棒・決勝」(3日、有明体操競技場)
個人総合5位の北園丈琉(18)=徳洲会=は2度の落下が響いて11・266。6位だった。序盤のカッシーナで落下。終盤のトカチェフでも落下した。最後は着地を決めて笑顔。そして、両手を合わせて頭を下げた。
「自分の演技だけに集中して、きょうは最後の舞台を楽しんで最後までやりきろうと思ったんですけど、悔しい思いがあります」と振り返った。
右肘にテーピングを巻いての演技だった。4月の全日本選手権で鉄棒から落下。右肘の剥離骨折と両肘の靱帯(じんたい)損傷の重症を負った。
「あの時はここに来られるなんて思っていなかったんですけど、いまオリンピックが終わって振り返ると悔しさしか残らなかったなというのがあるので…」と話して絶句。目に涙が浮かんだ。「次のパリに向けて頑張りたいと思います」と声を絞り出した。
諦めかけた五輪の夢をつないだのは、内村航平からの電話だった。「気持ちを切らさなかったら絶対に戻ってこられる」。小4の時に初めて対面したレジェンドからのエール。「内村選手と一緒に出る」と誓った。故障後は数日間両腕が動かなかったが、懸命な治療で復活。6月の代表最終選考会でつかんだ五輪切符。結果は思い描いたものではなかった。
「日本の頼れるエースにあと3年でなれるように練習を頑張りたいと思います」。東京の悔しさは、パリで晴らす思い。「僕は本当に周りの人に支えられてこうやってこられたので、もっと演技で恩返ししたかったですけどそれができなくって。本当にパリで結果で恩返ししたいと思います」と誓いを立てた。
◆北園丈琉(きたぞの・たける) 2002年10月21日生まれ、大阪府出身。4月の全日本選手権で鉄棒から落下、右肘剥離骨折、両肘じん帯負傷から代表をつかんだ。156センチ、54キロ。清風高出身、徳洲会所属。