【高島規郎の目】パリで壁を突破することは十分可能 体幹の強さに差、技術で埋めろ
「東京五輪・卓球女子団体・決勝、日本0-3中国」(5日、東京体育館)
女子団体決勝が行われ、前回リオデジャネイロ五輪銅メダルの日本は、中国に0-3で敗れ、銀メダルだった。第1試合のダブルスは石川佳純(全農)平野美宇(日本生命)組が1-3で先手を許し、第2試合は伊藤美誠(スターツ)が今大会シングルス銀メダリストに1-3で苦杯。第3試合も平野が敗れ、中国の4連覇を許した。
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結果はストレート負けだったが、内容的にはかなり良かった。日本の現状ではベストなプレーで善戦した。中国選手は一寸の隙も与えないよう必死に戦っていた。日本に対しては必死にかからないと危ないと思ったプレーだった。そのように思わせた日本選手はよく頑張ったと思う。
試合が進むにつれて、日本と中国とでは体幹の強さに差が現れていた。昨年から中国ナショナルチームでは、基礎体力テスト8項目をクリアしないと試合に出られないルールができた。身体的能力の短所を補完するために基礎体力のさらなる強化を打ち出した。今回の東京五輪では、その成果が出た形だ。
孫穎莎、王曼昱、陳夢のいずれの選手の動きを見ていても、体幹は全然崩れていなかった。どのような体勢からでも強い球を打ち出していた。日本選手もいい打ち合いができていたが、最後は地力の差で押し切られていた。
今後は男女問わず、中国に負けない体幹トレーニングが必要になってくるが、体幹で中国を上回ることはなかなか難しい。それに代わるのは高度なテクニックだ。打球回数を少なくポイントが取れるようなトリッキーなスピード、コース、タイミングをもっと勉強する必要がある。安定性、確実性を重視する中国卓球の隙を突くテクニックを身につければ、3年後のパリ五輪で壁を突破することは十分可能だ。(1975年世界選手権男子シングルス銅メダリスト、近大名誉教授・高島規郎)