沖縄初の金メダル・喜友名諒は空手の伝統を継ぐ男…蹴りは1トン!「気絶します」
「東京五輪・空手男子形・決勝」(6日、日本武道館)
予選B組1位通過の喜友名諒(31)=劉衛流龍鳳会=がダミアン・キンテロ(スペイン)を下し、沖縄県勢初の金メダリストとなった。
喜友名は「まずはこの舞台に立てていることに感謝したいと思います。自分一人ではこの舞台に立つことはできなかったので、今はすべてに感謝したい」と声をつまらせると、その後は涙で十数秒、言葉にならず、「まずは母親に『しっかり優勝したよ』と報告したい」と絞り出すように話した。
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◆喜友名諒(きゆな・りょう)
◆生まれ 1990年7月12日、沖縄県沖縄市出身。O型。
◆サイズ 170センチ、80キロ。
◆経歴 5歳の時、幼稚園の友達が空手をやっており、稽古を見学して興味を持ったのがきっかけで競技を始める。中3の時、佐久本嗣男氏のもとに入門し、現在も師事する。興南高から沖縄国際大。14、16、18年世界選手権3連覇。全日本選手権は12年から史上最多の9連覇中。
◆主な流派と演武形 劉衛流。予選では「オーハン」、「アーナン」を披露。ランキングラウンドでは「アーナン・ダイ」を演武した。
◆座右の銘 Stay Gold
◆無敗伝説 国際大会は8年間でわずか1敗。プレミアリーグでの金メダル数でギネス記録(12年9月1日~20年1月24日で19回)も持つ。
◆強烈なパワー 筋力トレーニングも熱心で好き。師匠で世界選手権3連覇の佐久本嗣男氏(73)いわく前蹴りの破壊力は「1トン」!。突きは700キロといい「間違って当たったら気絶します。軽自動車がぶつかってくると思えばいい」。
◆空手発祥の地・沖縄が継ぐ伝統 形は琉球王朝時代に士族(さむれぇ)が行っていた武術「手(てぃ)」が発祥。佐久本氏は「原点に返れば殺意がある」といい、喜友名も「一瞬でも気を抜いたら死を意味すると思え」の教えを大切にしながら演武しているという。喜友名は「空手の長い歴史に自分の名前を刻みたい」と話していた。
◆探究心旺盛 内面的なものを表現するため琉球舞踊を稽古に取り入れた。また佐久本氏は沖縄の方言でいう『ムチミ』(=形の持つ粘り)を出すため、ピンクレディーの「UFO」のダンスを取り入れたいと話したこともある。