ホーバス監督「お父さんのような気分」選手に慕われ最高のチーム作った“トムさん”
「東京五輪・バスケットボール女子・決勝、日本75-90米国」(8日、さいたまスーパーアリーナ)
敗れてなお、晴れやかな姿が印象的だった。バスケット女子決勝。日本は、米国に75-90で敗戦。しかし過去最高成績だった1976年モントリオール五輪の5位を上回り、男女を通じて初の表彰台で、輝かしい銀色のメダルを手にした。トム・ホーバス監督(54)の緻密な戦術とスピード重視のスタイルを、選手全員が理解、実践して体格差を跳ね返した戦いの成果だった。
青い目の“サムライ”が、日本の快挙を生み出した。ホーバス監督は銀メダルを提げるまな弟子を「じーんとくるものがあった。長い道のりをかけてきたので。最善を尽くしたし、お父さんのような気分だった」と柔らかなまなざしで見つめた。
試合中は鋭い視線で仁王立ち。日本語で選手をしかることも多々あるが、選手からは「トムさん」と呼ばれ慕われる。1対1でのコミュニケーションも積極的に取っており「仲いいですよ」と笑う。
就任時から「金メダル」を目標に据えた。1年延期決定後は主力選手の引退やケガも重なり、チーム作りが難航したが、結果的に最高のチームを作り上げることに成功した。
「悔しいです。勝ちたかった」と振り返ったが「五輪の銀メダル、最高です」と指揮官。今後の去就は未定で「本当に分からない。JBA(日本バスケットボール協会)と話したい」。ただまだ「教えたいことはいっぱいあるよ」と笑った。