当たり前のことをしなかった亀田ジム

 当たり前のことを当たり前にしておけばよかったのだ。ボクシング界を騒がせたIBF世界スーパーフライ級王者・亀田大毅(亀田)の“負けても王者”問題について、JBCは亀田家を事実上の国外追放とする厳罰を下した。JBCによると、00年以降に51件の処分が下されたが、そのうち亀田がらみが6件と突出。前代未聞と言える今回の問題が決め手となって、度重なる処分を受けても改まらないトラブルメーカーに大ナタを振るった形だ。

 過去に亀田関係者が処分を受けたトラブルは、レフェリーへの暴言、劣勢の試合で反則、JBC関係者をどう喝など、負け将棋の盤をひっくり返すかのような、実力差や判定を力ずくで覆そうとする子供じみたもの。当日計量の時間変更を関係者に伝えなかったという“怠慢”で厳重注意も受けている。

 そして今回。確たる証拠がないと思われるせいか、JBCは大毅の試合前のルールミーティングで「負けたら空位」か「負けても王座保持」のどちらが決まったのかではなく、伝えるべきことを伝えなかったことなどを処分の理由にした。

 亀田側は伝えなかった理由を「多忙を極めていた」と説明している。だが、これが20以上の世界戦をこなしてきた3兄弟を擁するジムが言うことか。「最も利害関係が大きい王座の帰趨(きすう)」(JBC)の正確な情報を伝えるのは、何より優先すべきことだろう。

 負けを認めない、伝えることを伝えないなど、過去のトラブルの原因は当たり前のことを当たり前にしなかったことばかり。記者は、他の世界王者の関係でこのようなことでトラブルが起こったことなど見たことがない。

 ボクシング界のルールをないがしろにするかのごとく、我が道を通して居座り続けた名物一家に突きつけられた“レッドカード”。訴訟で徹底抗戦する方針を示しているが、この期に及んで法律というルールに従って抵抗しようとする姿は何とも皮肉だ。

(デイリースポーツ・洪 経人)

編集者のオススメ記事

コラム最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス