競輪界新星の小林優香は女性版滝澤校長

 逸材はどこに埋もれているのか分からない。日本競輪学校105期生と106期生(ガールズケイリン3期生)の卒業記念レースが25、26日の2日間、神奈川県の平塚競輪場で行われる。最大の注目はゴールデンキャップ3回の超新星、ガールズの小林優香だ。

 競輪学校では5回ある記録会のタイムにより、練習時のヘルメットキャップが金、白、黒、赤、青に分けられる。女子のゴールデンキャップは初の快挙。男子では稲村成浩、小嶋敬二、武田豊樹など、そうそうたる顔ぶれが獲得しているが、2回以上の獲得者は男女含めて小林しかいない。

 すごい生徒がいる、とのウワサを聞きつけて、静岡県修善寺の競輪学校まで取材に出かけたのは昨年6月のこと。コンガリと日焼けした愛嬌(あいきょう)たっぷりの笑顔からは、すごく強い生徒というイメージが沸いてこなかった。だが光り輝くゴールデンキャップをかぶると、表情は一変。瞬発力系の練習でも、持久力をつける乗り込みでも、他の生徒たちを圧倒し、ポテンシャルの高さを見せつけていた。

 今年の1月で二十歳になったばかり。高校までバレーボールに打ち込み、自転車競技歴はまったくなかった。「背が低い(165センチ)からバレーでは上の世界で戦えない」。気持ちが揺れ動くなか、ロンドン五輪で自転車競技に魅せられ、両親の勧めもあって競輪学校を受験した。

 バレーボール出身で最も有名な競輪選手と言えば滝澤正光さん。競輪学校の現校長だ。バレー選手の持つバネを競輪に生かす術は、誰よりも知っている。ダイヤの原石は瞬く間に磨かれ、頭角を現した。昨年9月にガールズ2期生の主席・石井寛子が持つ400メートルFD記録を更新。2000メートルTTでも男道先行でおなじみの加瀨加奈子が持つ記録を塗り替えた。

 今年1月に伊豆ベロドロームで行われた国際大会のジャパントラックカップではケイリン部門で優勝。競輪学校同期の石井貴子とともに臨んだ2月のトラック世界選手権(コロンビア)では世界の壁を痛感させられたが、自転車競技歴わずか1年でこの舞台に立っていること自体が驚きだ。

 滝澤校長が「この顔を覚えていてくださいよ」というほどの好素材。2020年の東京五輪はもちろんのこと、成長次第では次のリオ五輪でも間に合うかもしれない。卒業記念レースは一般の方も無料で観戦できる。時間のある人はぜひシンデレラストーリーの開幕を目撃してほしい。

(デイリースポーツ・秋山哲範)

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