好調赤ヘル 数字に出ない伝統の足攻め

 プロ野球が開幕して1カ月。セ・リーグでは広島の好調ぶりが際立っている。安定した先発陣とリリーフ陣、チーム打率こそ高くないが、効果的な本塁打が続出している。

 そんな中、見事な走塁も目立っている。4月24日・ヤクルト戦(神宮)のことだった。5‐2でリードして迎えた七回、無死一塁で走者は菊池。続く丸の三邪飛で、菊池が二塁へのタッチアップを成功させたのだ。その後、菊池は生還し、この回4得点で勝利をほぼ決定づけた。

 三邪飛で一塁から二進するのは、プロ野球ではなかなか珍しい。丸の飛球は三塁よりやや後ろ、フェンス際で捕球が簡単ではないところだった。ただし、ヤクルトの三塁手・川端は、捕球時は本塁側に体を向けている。一塁走者に背中を向けて捕球したわけではなく、一塁走者のスタートの確認はそれほど難しいものではなかったはずだ。

 菊池は「追加点が欲しい場面だったので、1つでも次の塁に進みたかった」と振り返った。飛球がファウルゾーンに向かった時点で、タッチアップの体勢をつくり、捕球と同時にスタートを切った。ここまではどの場面でもあるが、大概は帰塁するもの。「最初は半信半疑で走ったが、捕ってから三塁手がよろけたし、いけると思った」。そのまま二塁を落としいれた。

 川端は捕球直後は一塁走者を確認せず、あわてて二塁に送球している。

 高守備走塁コーチは「川端は難しいフライをよろけながらも捕球して、ほっとしたんだろう。そのスキを菊池が逃さなかった。素晴らしい判断。これからは他チームも警戒させるタッチアップだった」と、説明した。

 野村監督は試合後、「キャンプでやってきたことを試合に出している」と話している。

 キャンプでやってきたこと、とは‐。高コーチは「積極的に次の塁を狙おう、と常にコーチから選手に声をかけていました。相手野手の捕球体勢や、状況を常に判断することが大事だと、今年は皆で昨年より選手に声をかけるようにしてきました」と話した。

 ほかにも今季の広島は、単打の当たりでも打者が二塁まで好走塁を見せ二塁打にしたり、相手の送球間での進塁が際立っている。

 盗塁のように数字に表れやすいものではないが、チームの躍進は、カープ伝統の足攻めが一役買っているといえそうだ。

(デイリースポーツ・山本鋼平)

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