プロ野球 16球団に増やせば面白い
頑固じじいの体で、プロ野球界を眺めてみたい。先刻、自民党主催の日本経済再生本部会議で、某ジャーナリスト氏が「プロ野球を16球団に」と提案、好意的に受け止められていた。
政権党がなんちゃらノミクスの一環でどうこうしよう、といった話はどうでもいいが、球団数を増やすこと自体は大いに賛成だ。
ちょうど10年前、球界再編と称してチーム数を10とか8とかに減らし、さらに1リーグ制にしようという動きがあった。これに選手会やファンが猛反発し、計画は頓挫した。今回は、正反対の考え方が表に出てきた。
賛成する理由は「面白そうだから」という身もフタもないものだが、実はそれこそ球界再編の動きを取材していたころから、球団は増やすべき、16チームくらいが適当かなと考えていた。
前出の某ジャーナリスト氏の、チーム数の根拠は分からないから「16」で一致したのはたまたまだろうが、この数はいろいろと都合がいい。
まず2リーグを維持し、レギュラーシーズン、プレーオフ、日本シリーズというスケジュールがあるとすれば、各リーグ8球団の上位3チームでプレーオフ。もしくは4球団ずつを東西地区(南北?)に分けて、地区首位の2チームがプレーオフでリーグVを争う、といった方法が考えられる。
現状の、6球団中3位でも、しかもそれが5割を切っていても日本一の可能性があるクライマックスシリーズの“ありがたくない感じ”は完全に解消できる。
加えていっそのこと3軍まで作って、各チームにできるだけ独立採算の形を模索させる。これで48チーム。東京に2チーム。残り46チームを上手に振り分ければ、国内すべての都道府県にプロ野球チームが行き渡る。
否定派は、球団単位でのレベル低下、人口に対するチームのアンバランスを指摘するだろう。ちなみに北米4大スポーツのチーム数はメジャーだけで122。対してアメリカとカナダを合わせた人口は日本の3倍程度。
新規参入の条件や外国人保有に関するものなど、いろんなルールにちょっとずつ手を加えればなんとでもなる。
記者の本音は16球団・48チームがベターではあるが、実は1リーグ10球団でもいい。もっと言えば球団数が変わらなくても構わない。プロスポーツの人気順を調べたあるアンケートでは、プロ野球が1位。しかも近年、再び上昇に転じているという。
同じアンケート。スポーツ選手で常に人気トップを走るイチロー。頻繁に取材したことはないが、数々の記録を打ち立てながら、オフには必ず打撃改造に着手していたのを思い出す。
成功に満足せず、もっと高いパフォーマンスをファンに提供する。一選手の例にとどめず、球界が常に考え、実践例として球団が増えるようなら、面白い。
(デイリースポーツ・西下 純)