23年ぶりVへ 燃えるビジターレッド
プロ野球の広島が1991年以来23年ぶりの覇権を目指している。12球団で最も優勝に遠ざかっているチームは現在、首位を快走。巨人、阪神といった巨大戦力を押しのけている。
快進撃を続けるチーム。「カープ女子」という言葉も生まれた。若い女性ファンを中心としたそれは全国に普及し、盛り上がりの一途をたどる。
10日、本拠地での中日戦では「関東カープ女子・野球観戦ツアー」が実施された。関東在住の女性ファンが対象で、往復の新幹線料金を球団が負担。チケット代と食事代の6500円で試合観戦できるというイベントだ。148人の定員に対し2305人が応募。倍率は約15倍を超える超難関となった。
横浜、神宮、東京ドーム…。関東の球場でビジター側の席が真っ赤に染まるのは、今や当たり前となった。
その現象が本拠地・マツダスタジアムで起こっている。広島は、ホームのユニホームは白を基調とする。昨季までは、そのユニホームを着たファンが多かった。右翼席を中心にスタンドは白が目立っていた。
しかし今季は違う。ビジターの赤いユニホームを着たファンが急増中だ。それを裏付けるように、マツダスタジアムのグッズショップでは、ホームよりもビジターのユニホームの方が売れ行きがいい。球団担当者は「選手で言えば大瀬良、前田、菊池、丸、堂林がよく売れている。しかもビジターの方です。8000円のハイクオリティーも次々になくなる。今は在庫がない選手もあります」とうれし悲鳴を上げた。
なぜビジター側が売れるのか。球団担当者は「赤色がきれいというのはあると思う。以前の灰色だったビジターのユニホームより目立つ」と話した。
さらに昨季、CS進出を果たし戦った、甲子園の影響がその1つではないか。球団史上初の快挙に聖地の左翼、三塁側は真っ赤に染まった。野村監督も「甲子園が赤く染まったのを見たことはない」と驚いた。広島市在住の32歳女性会社員は「甲子園が真っ赤になっていた。あれを見て、ビジターユニホームはいいなと思った。赤はインパクトが強いです」と目を輝かせた。
阪神を下しファーストSを突破。試合後赤く染まった左翼席に、監督と選手があいさつに向かった映像は、何度もテレビで放送された。マツダスタジアムもあの雰囲気に‐。鯉党にそんな思いが生まれたのかもしれない。
セ・リーグで首位を守る。このまま優勝へ突き進めば、本拠地がビジター球場のように、赤一色に染まる日は遠くない。
(デイリースポーツ・市尻達拡)