星野監督のオールスター復帰は…
昨年日本一の楽天が、暗いトンネルを抜け出せずにいる。最下位。連勝なしは、ついに2カ月を超えた。
そんなチームに、久しぶりの朗報が届いた。「腰椎椎間板ヘルニア」「胸椎黄色じん帯骨化症」で先月26日から休養している星野監督の手術が、無事に成功。17日に球団から発表され、現在は復帰に向けたリハビリを開始しているという。
5月26日、ヤクルト戦試合前に立花社長が突然の会見。星野監督が休養に入るということだった。腰が悪いのはもともと周知の事実だったが、周囲で見ていても、ここ最近は特に歩き方の歩幅が極端に短かったり、一歩踏み出す際につらそうな表情を浮かべることが多いなと感じていた。「休養はビックリだが、驚くことでもないな」と、当時、そんな矛盾したような感情を抱いたのを覚えている。
翌日、都内にて、星野監督が報道陣の取材に応じた。自らの現状を、自らの口からしっかり説明してくれた。設けられた部屋に向かう手前には車いす。「これに乗って、ここに来るのか。そんな姿を見ることになるのか」と思ったとき、これまでにない緊張感を抱いた。
だが指揮官は自らの足で部屋に来た。心配するこちらの表情を悟ったのか、ギャグを交えて話を進める。その時間は2時間くらいあったか。出された菓子パンも2つ食べ、コーヒーも何杯か飲んだ。
それだけ見たらいつも通りの、元気な星野監督。しかし、時折こぼす「さすがに参ったなぁ」とか「オレは痛みには強い方だけど、これは味わった人にしかわからないだろうな」といったコメント。痛みをこらえてこの場に来てくれたんだなと思うと、胸が痛くなった。
「オレは絶対に復帰してやる。見とけ!」という言葉を最後に言い残して、部屋を出た。それから3週間、手術が無事に終わったという発表に、とりあえずはホッとした。
まずは日常生活に戻るためのリハビリ。それが問題なくなれば、現場復帰が視野に入ってくる。はじめは、球宴明けの7月中旬から下旬くらいとみていたが、星野監督に近い関係者は「あの人はオールスターをやりたいと思ってると思う」と語る。昨年の優勝監督は、パ・リーグの指揮官。確かに、そういう舞台での復帰もあり得る。
復帰できれば喜ばしいことだが、そうなったとしても、すぐに現実が降りかかってくる。現在、首位のオリックスとは16・5ゲーム差。指揮官がいない間にチームは最下位に転落し、外野手の成績不振から、米村外野守備走塁コーチが2軍の野手コーチへ配置転換された。
さらに低迷してしまったチームに、指揮官が戻ったとき、どんな変化がみられるのか。百戦錬磨の男が、立て直しにどういう判断、采配をしていくのか、その移り変わりを、しっかりと伝えていけたらと思う。
(デイリースポーツ・橋本雄一)