セV争いのカギを握るのは最下位の燕

 接戦が繰り広げられているセ・リーグの優勝争い。首位・巨人と、2位・阪神が2・5ゲーム差で追走し、春には首位を走っていた3位・広島も首位から4ゲーム差で踏ん張っている(14日時点)。だが、この夏は少し様子がおかしい。

 8月の成績だけを見れば、首位・巨人5勝6敗1分、2位・阪神5勝5敗、3位・広島4勝6敗1分、4位・中日4勝8敗、5位・DeNA7勝3敗、最下位・ヤクルト7勝4敗と、順位がほぼ逆転しているのだ。

 DeNAの追い上げの影に隠れて目立たないが、ヤクルトもそれに劣らず調子がいい。主力に故障者が続出して負けが込み、一時は借金が19までふくれあがったが、故障者が続々と復帰すると逆襲に転じた。

 特に畠山和洋内野手が復帰してベストメンバーが組めるようになった7月29日からは強力打線が爆発。14試合中11試合で2桁安打を記録し、24本塁打を放つなど驚異的な破壊力を見せつけている。

 借金15で首位に14ゲーム差、5位にも5・5ゲーム差と依然として数字は厳しいが、実は、このヤクルトが優勝争いのカギを握る存在になると言えるのだ。

 なぜか。上位の巨人と阪神に強いからだ。広島には5勝10敗、DeNAには4勝13敗と大きく負け越しているが、巨人とは6勝7敗、阪神とは8勝9敗とほぼ互角の成績を残している。デッドヒートを繰り広げている巨人と阪神にとっては、これからは下位からの取りこぼしが大きく響く。恐るべき最下位・ヤクルトとの戦いに苦しんだ方が、優勝から見放されるだろう。

 それだけではない。ヤクルトが滑り込みでクライマックスシリーズ進出を決め、巨人、阪神と顔を合わせることになれば、大逆転で日本シリーズ進出を果たすことも十分考えられるのだ。今年のセ・リーグはまだまだ何が起こるかわからない。(デイリースポーツ・洪経人)

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