広島・野村ら高校野球の日程緩和を提言

 夏の甲子園が終わった。今大会前に、日本高等学校野球連盟(高野連)は、各都道府県連盟を通じて全加盟校にアンケートを依頼。夏の甲子園(地方大会も含む)と春の選抜大会で、選手の健康管理のために導入するべき制度について意見を求めた。

 アンケートは、同点で延長に入った場合、いずれかの回から1死満塁など決められた状況で攻撃を始める延長タイブレーク制や、投手の球数制限、投球回数制限について意見を集めるものだ。

 さまざまな意見がある中で、球数制限について現役のプロ野球選手はどう思っているのだろうか。

 広島・野村祐輔投手は07年、広陵のエースとして準優勝に貢献した。1回戦の駒大苫小牧(南北海道)戦から決勝戦の佐賀北戦(佐賀)まで6試合すべてに先発。計46回707球を投げ抜いた。

 米大リーグでは先発投手が約100球で交代するのが一般的と言われている。高校野球での球数制限導入については、否定的だった。「制限してしまえば、先発して五回で降板するようなことが起こる。僕はマウンドに上がったら最後まで投げ抜きたいと思っていた。見ている人も球数を制限して、交代したら楽しくないこともあると思う」

 プロ野球と違い、高校野球の大会期間は限られている。そのために日々、苦しい練習を耐え抜く。その成果を球数で縛られたくないという思いがある。だからこそ、707球を投げたことは「苦しいと思ったことはない。球数のために野球をやっていた訳ではないから」と言い切った。

 広島ドラフト1位・大瀬良大地投手(九州共立大)も否定的だった。長崎日大高3年時は夏の甲子園1回戦で敗退したが、長崎大会は1人で5試合を投げ抜いた。「先発したら完投する思いだった」。仮に球数制限を設ける場合は「130球くらいなら」。完投が可能な数字を挙げた。

 両選手とも、球数が増えたからという理由だけで故障につながる訳ではないという。野村は「いい投げ方をすれば故障はしない」と力を込めた。

 選手の体調管理のためには、何が最適なのか。両選手が挙げたのは日程だった。試合と試合の間隔が空けば、それだけ疲労は回復する。「県大会で準決勝と決勝が連戦だった。でも雨が降って1日あいた。それが大きかった」と大瀬良。大会期間の変更は、球場の確保などもあり困難かもしれない。野村は「夏は1日を3試合にして日程が長くなれば、疲労も取れやすくなるのでは」と話した。

 元高校球児に共通していたのは「やってきたことを全部出し切りたい」という思いだった。集大成の場で悔いが残らないようにするために、どうすればいいのか。元高校球児の声にも耳を傾けるのも1つの手だ。

(デイリースポーツ・市尻達拡)

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