ヌーヴォレコルトのエ女王杯参戦の理由
今年の3歳世代は牡馬、牝馬ともに3冠レースの勝ち馬が全て異なり、JRA賞(最優秀3歳牡馬&同3歳牝馬部門)の争いがし烈になってきた。牡馬路線はイスラボニータが一歩リードしている印象だが、牝馬路線は現状、桜花賞馬ハープスターとオークス馬ヌーヴォレコルトがほぼ互角といった感じだ。
ショウナンパンドラが制した牝馬3冠最終章の秋華賞で、ヌーヴォは2着を確保。一方のハープは凱旋門賞に挑戦し、結果的に6着に敗れたが、世界最高峰の舞台で精いっぱいの立ち回りを見せた。
ハープは近々栗東へ帰厩する予定。ジャパンC(30日・東京)へ向けて調整を進めていく。一方のヌーヴォは美浦で調整中。斎藤誠調教師とオーナーサイドが話し合った結果、エリザベス女王杯(16日・京都)で2つ目のG1タイトル獲得を目指すことになった。
このオークス馬の、エリザベス女王杯への参戦が決まるまでの経緯を先日、トレーナーに聞くことができた。当初、年内はローズSと秋華賞の2戦で切り上げる予定だったという。方針を切り替えたのは、心身の充実ぶりが顕著だからだ。
「(ローズS1着後)に栗東で調整を続けてきた結果、心身ともに成長してタフになった。レース後の回復も早く、もう1戦走るプランが浮上しました」
ファンの立場からすると、エリザベス女王杯に出走するなら、秋華賞のあとも引き続き栗東に滞在していた方が良かったのでは…という意見もあるかもしれない。だがその点についても「美浦で馬の状態を確認したあとに、オーナーサイドと協議して決まったことですから」と、落ち着いた口調で説明する。
「今は体も450キロ(前走448キロ)まで戻っているし、丸みがあってとてもいい状態です。これまでの経験から、京都までの輸送で6キロほど絞れることを考慮しても444キロくらいでレースに臨めそう。あくまでも馬の状態が一番。その点を踏まえたうえで、最優秀3歳牝馬に選ばれる可能性が高い方法を話し合って決めました」
エリザベス女王杯には、秋華賞の勝ち馬ショウナンパンドラも出走を予定。「もちろん借りを返すつもりでいますよ」と、指揮官はリベンジを誓う。この選択が正しかったかどうかは、もちろんハープのジャパンCでの結果にもよるが、ひとまず16日の淀のターフである程度の答えが出る。(デイリースポーツ・塩手智彦)