J2降格のC大阪 主力流出は防げるか

 クラブ史上3度目となるJ2降格が決まったC大阪。ブラジルW杯日本代表MF山口蛍(24)をはじめ、U-21(21歳以下)日本代表FW南野拓実(19)ら育成組織出身の才能豊かな若手が多数在籍しており、今オフは主力選手の大量流出が懸念されている。

 12日には契約更改交渉が始まり、DF丸橋祐介(24)、MF扇原貴宏(23)、FW杉本健勇(22)ら6選手が交渉に臨んだ。

 J1神戸が獲得に乗り出している扇原は「C大阪を立て直すという気持ちは伝わってきた」としたが、自身の去就については「具体的な話はまだしていない」と話すにとどめた。

 代理人を伴って交渉した杉本にはJ1川崎から正式オファーが届いており、「頭が割れるくらい悩む」と揺れる胸中を明かした。J1鹿島から正式オファーを受けていた丸橋も結論を“保留”。主将の山口も10日に「期限は来年1月31日まであるし、ゆっくり考えたい。焦ってサインする必要はない」と話し、結論を急がない考えを示している。

 12年に17位でクラブ史上初のJ2降格となったG大阪のMF遠藤が、試合直後の取材エリアで残留表明したことで流出に歯止めが掛かった状況とは対照的に、主力選手の引き止めに暗雲が立ち込めていた。

 そんな中、13日に昨季まで主将を務めたDF藤本康太(28)とDF酒本憲幸(30)の生え抜き2人に加えDF小谷祐喜(23)が契約を更新した。15日には丸橋が鹿島に断りを入れ「セレッソというチームでタイトルを獲りたい」と残留を表明。今季で契約が切れる丸橋の慰留に成功したことで、育成出身選手の“0円流出”という最悪の事態は避けられた。

 海外志向の強い山口と南野の動向も関心を集める。山口はJクラブからのオファーを断っており、南野とともに国内ならC大阪に残留する意思を固めている。ただ、2人はかねてから欧州挑戦の夢を公言しており、南野はオフを利用して渡欧。U-21日本代表のタイ・バングラデシュ遠征に3日遅れの合流となった。今冬、C大阪側に海外からの正式オファーが届けば、両者の去就が流動的となる可能性もある。

 今季加入した元ウルグアイ代表FWディエゴ・フォルランの去就も懸案の一つだ。先週末にはC大阪の宮本功強化本部長(44)が、来日していたフォルランの代理人でアルゼンチン人のダニエル・ボロティニコフ氏と来季について交渉を行ったものの結論には至らなかった。

 フォルランの契約は12月末までとなっているが、半年間の契約延長オプション付きで行使権はフォルラン側にあるとされている。C大阪側は来季構想外としており、フォルラン側も出場機会を求めて移籍先を模索しているが他クラブからのオファーはなく、残留の選択肢も残されている。母国の名門ペニャロールからのオファーも報じられたが本人は否定。来季の編成に及ぼす影響も大きく、1日も早い結論が待たれる。

 16日には来季の新監督として、06年に鹿島を指揮したブラジル人のパウロ・アウトゥオリ氏(58)と合意に達したことが発表された。新体制の方向性が定まったことは、今後の残留交渉において好材料となることは間違いない。

 C大阪には育成出身の選手が多く、クラブへの愛着が強い一方で、ある育成出身選手は「違うチームを見てみたいという気持ちも少しはある」とも話した。未知の環境に身を投じることで成長につなげたいという思いもあるようだ。限られた現役生活、迷いが生じるのも当然だろう。今後も順次、契約更改交渉が行われていく。退団が発表された選手はまだいない。選手たちの決断に注目が集まる。

(デイリースポーツ・山本直弘)

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