巨人4連覇のカギ握る新守護神・沢村

 巨人の新守護神として期待される沢村拓一投手。もともとは先発タイプだったが、原監督の意向もあり、今季から本格的に中継ぎに転向。4連覇へ、ひとつのカギになる抑えの候補として、日々準備を積み重ねている。

 21日の広島とのオープン戦、2点リードの九回から登板し、3者凡退。最速は150キロを計測し、危なげなく抑えてセーブを挙げた。オープン戦のため記録には残らないが、“プロ初セーブ”となった。

 投げた9球のうち、直球が8球。唯一の変化球はスプリットだった。磯村を相手に1ボール2ストライクと追い込んでから、鮮やかに落として空振り三振。「1球しか投げてないので、いい悪いは言えない」と振り返ったが、まさにシナリオ通り、相手のバットが空を切った。

 抑えに必要な空振りを取らせるボール。沢村はこのスプリットとフォークを使い分けている。磯村を空振りに切ったスプリットに対し、フォークはホームベースに思い切りワンバウンドする。2種類の落ちる球は、守護神を務める上で心強い武器となりそうだ。

 先発と中継ぎ。調整方法も大きく異なる。中継ぎは1日の投球数は先発投手に比べれば格段に少ないが、当面の登板日が決まる先発投手に対して、毎日のようにブルペンで肩を作り、待機する必要がある。「リズムだったり体調を整えて、ゲームの準備をするのが大切」。簡単にはいかないが「先発投手の気持ちもわかるので、その先発に勝ちをつけさせたい気持ちも強い」と、自身の経験も踏まえて語る。

 1イニングに試合の全てが決まる。抑えは、その重圧を背負ってマウンドに上がる。先発投手がつくった流れを断ち切ってはいけない。だが沢村は、それをすべて感じ取りつつ「興奮はないですけど、快感ではあります」と、強心臓ぶりをのぞかせた。

 広島とのオープン戦でセーブをつかんだ後、すれ違った原監督に言われた。「いいね!拓一君!鬼になってるね!」。そのマウンド姿が、指揮官には頼もしく見えた。照れ笑いする沢村。だが、片りんを見せつけるには十分なくらい、直球で押し込む姿があった。

 4連覇を狙う今季、「新成」を掲げる原監督は、現有戦力を脅かすほどの若手の台頭を願った。そこで戦力の競争があるならば、現場としては願ったりだ。だからこそ、沢村を中継ぎに、西村を先発にした。

 沢村拓一を守護神と仮定するなら「沢村が出てきたら、その試合は終わったな」と思わせるくらいの存在感が必要だ。今後、さまざまな場面を想定しながら、それでも確実に右腕を求める声が必要となる。「どんなに見苦しくても、必ず3アウトを取ります」。逃げも隠れもしない。だが確実に結果につながる姿勢を、みんなが願っている。

(デイリースポーツ・橋本雄一)

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