東京五輪追加種目、際立つ空手の本気度

 昨年12月の国際オリンピック委員会(IOC)が開催都市に実施競技、種目の追加提案権を認めた「アジェンダ2020」を承認して以降、滑り込みを狙う各競技団体のアピール合戦が続いている。

 すでに08年北京五輪以来の復帰を目指し、統一団体も設立した野球・ソフトボール、日本発祥の空手、欧州で人気のスカッシュ、採用された場合、大分での競技実施を表明したウエークボード、88年ソウル五輪で公開競技だったボウリングなどが名乗りを挙げており、その他にも綱引き、ダンススポーツ、ビリヤードなども立候補を視野に入れている。東京五輪・パラリンピック組織委員会は今後、競技団体からのヒアリングによって絞り込みを行い、今年9月にIOCに提案。来年8月のリオデジャネイロ五輪前に行われるIOC総会で正式決定する見込みとなっている。

 中でもこのチャンスに懸ける熱が伝わってくるのが、空手だ。昨年12月8日の「アジェンダ2020」承認を受けて、全日本空手道連盟は翌9日に記者会見を開き、立候補を表明。1月8日には他競技の先駆けて世界空手連盟(WKF)のエスピノス会長が東京を訪問し、各所にアピールした。

 広報活動にも力を入れている。2月1日には東京ミッドタウンでイベントを開催。美女アスリートとして注目された元世界女王の宇佐美里香、動画サイト・ユーチューブで演武の動画の再生回数が400万回を越え、世界で話題となった8歳の天才少女高野万優、慶大医学部在学中で横浜観光親善大使を務める岩田樹里のアンバサダー就任を発表。迫力ある形の演武を披露した。さらに「2020年、私たちに空手着を着させてほしい」とキャッチコピーを決定し、首都圏の駅にポスターを掲出、電車内のモニターにはCMも流している。全日本空手道連盟の日下事務局長によるとアピール費用は約5000万円で「世界連盟が半分は出すと言ってくれてる」と、世界連盟、国内連盟が一丸となってのピーアール活動を強調する。

 ポスター、CMに出演した植草歩(帝京大)は、そのキュートな笑顔から“空手界のきゃりーぱみゅぱみゅ”と呼ばれているが、2月のイベントに参加した際、スタイリストにきゃりーぱみゅぱみゅ風のメークと髪型が施された。植草は「連盟としてもそういう方向でいくみたいです。似てますか?」と笑っていたが、連盟として、敏感に時流を乗るしたたかさも見せている。

 決定まであと1年半。日本発祥の武道は、夢舞台への切符をつかめるか。(デイリースポーツ・大上謙吾)

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